生い立ちの不幸、育ちの不幸、病気の不幸や不運を語りたがる人がいます。そういう人には、自尊感情をもったナルシストが多いといわれています。
不幸自慢も自尊感情から
「俺さあ、最近ベンツを買ったんだよ」とか、「私の家系は医者ばかり」などと、聞いてもいないのに自慢話をしたがる人がいます。このような人は、いつも「誰かに認めてほしい」「ほめてもらいたい」と思っています。
そのことで自分は価値ある人間なのだと感じていたいのです。
これを自尊感情といいます。
さて、普通の自慢とは反対に不幸自慢をしたがる人もいます。
「自分の家は貧しくて、少年時代はまともに風呂も入れなかった」とか、「ろくな食事も与えられなかった」など。


実はこれも自尊感情のあらわれです。
「どうだ、オレはこんなに苦労をした経験があるんだぞ」という表明です。
自分を卑下しているように見せて、実は優越感を持っているのです。
こういう人はたいてい、
- 「こういう辛い思いをして、耐えた経験があるから、人生の裏側までわかっている」
- 「どんな辛い状況になっても耐えられる」
- 「昔は不幸だったけど今は違うぞ!他の人とは違うのだ!」
と言いたいのです。
人から聞かれて話すのは別ですが、聞かれてもいないのに好んで話したがる人は要注意といえましょう。
ほんとうに苦労して人間的に成長した人は、やたらと不幸話はしないものです。
このような人は自分だけを愛するナルシストであるともいえます。
- 親から溺愛されて育った人は自分が特別に優れていると思い込みやすい
- 親の愛情が得られずに育った人も、マイナス体験を埋め合わせるるめに自分は優れていると考えたがる
となります。
そしていずれの場合も他人の気持ちを推し量ることが苦手となります。
自慢話をするのは男性に多い
「知り合いに有名人がいる」
「自分は友人が多い」
などの自慢話の裏には、本当は親しい友達や信頼できる仲間がいないという劣等感が潜んでいると考えられます。
自慢話を聞かされるというのは、かなりうんざりすることですが、「すごいね」とか「へえー」などと感心している対応をすれば相手は心を平穏に保つことができます。
深入りせずに余裕を持って軽くかわすのがよいでしょう。
自分だけしか愛せない人の特徴
ナルシシズム(自己愛性人格障害) とは、 自分だけを対象にする愛のこと。
ナルシシズムを呈する人を「ナルシスト」といいます。
その特徴には次のようなものがあります。
1.自己の重要性を過大評価する
自分の業績や才能を誇張する。
2.成功・権力美・理想的な愛の空想にふける
自分の魅力による出世や財産などを空想する。
3.自分は特別だと信じている
他の特別な人にしか理解されないと信じる。
4.過剰な賞賛を求める
お世辞に弱く、賞賛されると無上に喜ぶ。
5.特権意識がある
特別扱いを望み、自分の期待に従わせたがる。
6.対人関係で他者を不当に利用する
自分の目的達成のために他人を利用する。
7.共感できない
人の気持ちや欲求を理解しようとしない。
8.嫉妬しやすい
他人も自分に嫉妬していると思い込みやすい。
9.尊大で微慢
冷たく横柄な態度。感謝の気持ちに欠ける。
以上参考《『面白いほどよくわかる!他人の心理学』(渋谷昌三)西東社》一部加筆
不幸を自慢する人に多く見られる傾向(私の見聞から)
会話の端々に、
- 自分は人より優れていると信じている気配がする
- 自分の業績や成功を語りたがる
- 賞賛されるのが好き、またはあまのじゃく的な反応をする
- 普通の人を何かと見下す言動がにじみ出る
- 人の感情や感覚があまり理解できない(本人はできるつもりでいる)
- 自分のアイデアややり方が唯一絶対と言いたがる
- プライドが高いが、内心では揺らぎやすい
- 心を許せる友人がほとんどいない
- 他人の実績や業績を認める度量に乏しい
- 他人の悪口や批判が好き
本当に臥薪嘗胆、努力した人は、奥ゆかしいものです。
幼少期の貧乏話を人前ですることは、親の恥を語ることです。
めったやたらに他人に語ったり、書き残したりするのは、「孝」ではありません。それが、たとえどんな親であっても…。
苦労の記憶は、心の中にじっと住まわせておくのが良いと思います。
本当に心を許した人にだけ聞いてもらうのが、子として人としてのあり方ではないでしょうか。
※「臥」は伏して寝る。「薪」はたきぎ。「嘗」はなめること。「胆」は苦いきも。もとは敗戦の恥をすすぎ仇あだを討とうと、労苦を自身に課して苦労を重ねること。
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