「学校に来なくなるかもしれない」
というサインの第一は、「急に笑顔が減ること」です。
暗い顔、無気力な表情が数日間続いたら要注意です。
そして、休み時間に友だちと関わる場面が急減したら、いよいよ重傷となります。
今回は、恋愛関係からの不登校になった4人の高校生による実際の例を書いてみます。
「友人の親友の彼女を奪った。あいつは許せない!」
【恋愛はデリケート】当事者は隠したがる
親しくしていた友人同士が急に会話をしなくなる。
これには必ず原因があります。
ささいなことが原因なら時が早いうちに解決してくれます。
しかし、会話を交わさない、目も合わせない関係が長く続いていたら、男女関係のもつれも可能性の一つとして考えてみたほうが良いです。
男女関係は表ではなく影で進行します。当事者は当然、隠したがります。
周囲もデリケートな問題なので、話題に触れたがりません。
「あいつにバラされた!」を一番忌み嫌う内容だからです。
仲良しだったA君とB君が急に会話をしなくなった
同じクラスで仲が良かった2人の男子が、急に会話しなくなりました。
数年前の話です。
双方に理由を聞きましたが、
- A君「Bが急に俺から距離を取るようになった。わけがわかりません。」
- B君「何となく、気まずくなりました。」
と言いました。
怒っているのはB君。関係を回復したいのはA君。
という印象を私は持ちました。
もともと仲が良かったし、男子同士だからそのうち関係が戻るだろう…と私は予想したのですが、案に相違して数か月過ぎてもお互いの距離は縮まりませんでした。
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1年が過ぎて、原因がわかった「Aを許せない!」
B君の怒りの原因は単純ではありませんでした。
「Aは、親友(D君)の彼女を奪った。許せない!」が原因でした。
「あんなヤツとはもう友達でいたくない」となったのです。
高校生は大人が考える以上に純真です。
彼氏彼女の関係は、大人に積極的に見せようとしません。
そのうえ、「告(こく)った」などは第三者に知られたくありません。
ですから、「友人の彼女を奪ったから絶交した」というケースでは、大人の側からは原因を突き止めにくいわけです。
さらに、デリケートなことなので、ふだんは頼りになる情報屋さんの生徒も慎重になります。
あるいは、周囲も原因がまったくわからない、というケースも大変多いのです。
このケースも、ごく親しい友人しか事情を知らなかったようです。
4人それぞれの心理的事情
具体的に説明を加えます。
- A君=D君の彼女を奪った?(言葉は悪いがわかりやすくするために「奪った」とします)
- B君=A君とも親しいが、D君は大親友
- Cさん=D君と付き合っていたが、A君を好きになり告白した。D君と付き合っていたが、途中からイヤになっていた。
- D君=彼女をA君に奪われた?
4人の行動を分析すると〈大人に話す?話さない?〉
A君
- 倫理的に罪悪感があるため、あまり事情を話さない
- 性格によっては時間が経てば話してくれることもある
B君
- D君を傷つけたくないという倫理観から誰にも言わない
- A君を許さない気持ちが強い
Cさん
- 日頃から大人しいタイプで教師にはまず話さない
- ごくごく親しい友人にだけ話した
D君
- 100パーセント近く言わない。カッコ悪いから。
- プライドが高く「Aに彼女を取られた」とは言いたくない。
となります。
4人とも事情を話さないので、大人の出る幕はありません。
また、ここで大人が登場してもできることはほとんどありません。
半年が経過して…、「A君の説明」
「C子が、D(B君の親友)から離れたがって、俺のところに何度も告白してきたんです。そのうち、『いいよ』となって…」
「C子を自分は救ってあげた」と言いたいのですね。
この場合は、「救った」という思いが罪悪感からA君を解き放ちます。
だから、時が経過したら親しい大人に事情を言えるわけです。
さてさて、なかなか複雑ですよね。
こういうことが学校では起きるわけです。
それでは、家庭での4人をフォーカスしてみましょう。
「複雑な人間関係の経緯を親に話すか?」
- A君⇒親との関係が良ければ、事情を話す
- B君⇒「Aのヤツ頭にくる」と話すこともあるが、男子は往々にして言わない
- Cさん⇒最近の女子は母親には話す子がたまにいる
- D君⇒ほとんど話さない
と普通は上のように展開します。
私のその時の経験では、
- A君⇒母親に話した。彼女ができてうれしい気持ちも親は知っていた。
- B君⇒A君と不仲になった理由を母親に話した。「もう信用できない」と。
- Cさん⇒母親にすべて話した。母親は「節度を持って付き合いなさい」
- D君⇒何も話さなかった。彼女の話題がなくなったため、親はフラれたのでは?と感じていた。
D君に不登校の危機が迫る!
さて、上の4人で不登校になる可能性が最も高いのは誰でしょうか?
言うまでもなくD君ですよね。
実際に、途切れ途切れに10日くらい欠席しました。
親から電話が来ます。「今朝も『頭が痛い』と何を言っても布団から出ません」
D君は、家でも学校に行きたくない理由を話しません。
親は「きっとフラれたショックだろうな…」とは感じたようです。
心配になった親は、「学校で何かありましたか?」。
しかし、教師のほうも詳しい事情はわかりません。
「少し前に彼女と別れたようですね。最近、ずっと元気がなく気になっていました。表情から察するにフラれたのだと思うのですが…」
親も「やっぱり、私も何となくそのように感じていました」
親との関係が良かったので、私は思うところを隠さず話しました。
それにしても、その時点ではすべての裏事情を知る大人は誰もいません。
こういうケースでは、当事者4人に事情を聴いても口を割らないことが多いので、厄介です。
さて、4人の中で最も事情を教えてくれそうなのは誰でしょうか?
答えはA君です。
B君は、D君への気兼ねがあって言えません。
担任から親に「彼女にフラれたことが理由のようです」と伝わったら、
D君は「誰が話したんだ!?Bしかいない!」となります。だから、言えません。
Cさんは「私が原因です。彼氏を取り替えてD君にショックを与えたからです」とは…、なかなか言えませんよね。
ですから、A君が最も可能性が高いのですが、それでも言いにくいことです。
こういう場合は、事情を知る第3者の生徒がいれば良いのです。
しかし、男女の関係は極秘に進行するので、「わからない」という生徒が多いのです。
D君の親には、
「付き合っていた彼女が他の男子と仲良くしている様子も見られるので、それを見たくないから学校に居たくない。そして、何よりショックなのかも知れませんね」
と言いました。
D君の親は、
「そうでしたか。でもこういうことは、本人が乗り切ってくれないとダメですよね。」
理解してくれる親御さんで良かったと思いました。
大人にできることは何か?特効薬はない
大人が子どもの関係にズカズカ踏み込むと、問題をさらに複雑にしてしまいます。
- Cさんに「D君との関係を復活させなさい」。こんなアドバイスありえませんよね。
- A君に「CさんをD君に返してあげなさい」。Cさんはモノではありません!
- B君に「A君を許してあげなさい」。聞く耳持つはずがありません。人の心は単純ではないです。
- D君に「人生にはいろんなことがあるもんさ。Cさんのことは少しずつ忘れよう。もっとピッタリの彼女が見つかるかもしれないし…」
結局、私は4番をセレクトしました。当然ですけどね。1~3を選んだら、頭がどうかしています。もちろん、様子とタイミングを見計らって話を切り出しました。
D君は「わかっています。だんだん忘れてきています。」と笑顔で答えました。
それでも、しばらくはポツリポツリと欠席しましたが。
卒業までにD君に新しい彼女はできませんでした。
心の傷が完全に癒えたのか、それは私にもわかりません。
D君は「とっくに忘れましたよ。アハハハ!」と笑いますが、本心はどうか…。
欠席の日数は記録として人より多く残りましたが、ちゃんと卒業し大学に進学しました。今は4年生です。就職も決まったらしいです。
A君とB君ですか?何度か、
「また仲良くしろよ」
と私も言いましたが、
「はい。でも、もう無理に仲良くしなくてもいいんです」と2人とも最後まで同じようなセリフを口にしていました。
やっぱりA君のほうが性格的にB君との関係に未練を残していましたね。
その関係は変わらないまま、2人とも卒業していきました。
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高校生の恋愛・友情のもつれ〈対策〉はあるのか
特効薬はD君の成長
Dくんは、一時期しばらく学校を休みました。
よほどCさんが好きだったのでしょう。
Cさんも心を傷めた?…きっとそうだと思いますが、あえて聞いたことはありません。
でも、私が聞いたのは最後のほうはD君をとても嫌がっていたということです。
なぜ嫌がったか、そこまではなかなか聞けません。
聞いてもどうにもなりませんしね。
では対策は?
D君に強くなってもらうことでしょうかね。
いつの日か「青春の1ページとして笑って(苦笑して?)思い出す日」が来ることを期待するしかありません。人間的に成長してくれることが一番の「対策」でしょうね。
こういうことを体験して、人は精神的に成長していくのでしょう。
「いくのでしょう」とエラそげに書くのは簡単ですが、ツラかったでしょうね。
大きかったB君の支え
何にせよ、D君にとって救いだったのはB君の存在でしょう。
きっと、D君の気持ちに寄り添って、励ましてくれたはずです。
もし、B君の存在がなかったら、D君は立ち直らなかった可能性だってあったと思います。
「人間関係が、最高の心のクスリ」だと思います。
さて、親御さんから相談を受けたらどうするか、占いの視点から考えてみます。
まず、D君の精神状態を見るでしょうね。
精神状態は『福徳宮』が担当します。月ごとの吉凶を観察して「1か月後には元気になりますよ」など具体的に話せると思います。
B君との関係は『兄弟宮』です。ずっと良い状態が続くなら、力になってくれると見てよさそうです。
関係が崩れることが見て取れたら、「気をつけましょう」「大事にしましょう」。あるいは、「〇月頃にちょっと不安定になりそうです」などをお伝えすることになります。
A君との関係は『奴僕宮』ですね。勉強は『官禄宮』に出ます。
親御さんはツラいでしょうが、D君が立ち上がるのを待つのが一番ですね。
その間に、担任とコッソリ連絡を取り合うことをお勧めします。
家での様子と学校の様子とを連絡し合って、ちょっとした変化のサインを見逃さず、場合によっては適切なアプローチが必要になることもあるでしょう。
また、やはりB君の存在が大きなカギになります。最大の支えはB君と考えて間違いありません。
ですから、万一、B君との人間関係が不安定になったら、不登校の状態が長期化する可能性が非常に高くなります。
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