人前で文字を書き間違えると少し恥ずかしくなりますが、それでも文字は消して訂正できます。
しかし、言葉に消しゴムは存在しません。
自分の読み間違いにあとから気づくと恥ずかしくなるものです。今回は大人が間違えやすい漢字をまとめてみました。
- 論う
- 当て所ない
- 後足で砂をかける
- 強ち
- 抗う
- 一世一代
- 今際の際
- 有象無象
- 恭しい
- 心悲しい
- 運否天賦
- 気息奄奄
- 夥しい
- 覚束ない
- 徐に
- 託ける
- 上意下達
- 喧しい
- 歯に衣着せぬ
- 気骨が折れる
- 俠客
- 行住坐臥(ざが)
- 行年
- 奇しくも
- 言質
- 哄笑
- 後生畏(おそ)るべし
- 頭を回(めぐ)らす
- 杮落とし
- 挙って
- 然したる
- 宛ら
- 捌く
- 三界
- 参内
- 恣意
- 扱く
- 手紙を認める
- 舌鼓を打つ
- 大事件が出来する
- 定石
- 真面目を発揮する
- 清清しい
- 数寄屋造り
- 清拭
- 殺生
- 漸次
- 唆す
- 碩学
- 相好を崩す
- 罵詈雑言
- 相殺
- 造作ない
- 素封家
- 大人の風格
- 大勢が決まる
- 忽ち
- 長広舌
- 追従を言う
- 序でに
- 築山
- 具に
- 釣瓶落とし
- 床につく
- 名代の店
- 生兵法
- 習い性となる
- 労う
- 背馳
- 白砂青松
- 播種
- 甚だしい
- 頒価
- 腸が煮えくり返る
- 凡例
- 払拭
- 反故
- 臍をかむ
- 熱る
- 幕間に弁当を食べる
- 股座
- 末期の水
- 目の当たりにする
- 未曽有
- 目深
- 身を粉にする
- 無碍
- 貪る
- 役所をわきまえる
- 野に下る
- 夭逝
- 老若男女
- 弁える
現在は、難解な漢字はひらがなで書くことが推奨されています。
わかりやすさ、読みやすさが大切と思いますが、それでも難読漢字には時々出会います。
論う
×ろんう
〇あげつらう
物事の善しあしや道理にかなっているかどうかを言い立てる。ささいなことを大げさに言うというような否定的なニュアンスで用いる。
当て所ない
× あてどころない
〇 あてどない
「当て所ない旅に出る」の「あてど」。心当たり、見当、の意。
「所(と)」は古語で、場所のこと。
「処」とも書き、その場合は、複合語として用いられる。「目処(めど))」はその例。
後足で砂をかける
× うしろあしで砂をかける
〇 あとあしで砂をかける
世話になった人に対して、去り際に迷惑をかけたり、恩知らずな振る舞いをしたりすることをたとえていう。
強ち
×きょうち
〇あながち
必ずしも。「あながち間違いとはいえない」など。打消の「~ない」と呼応させて用いる。
抗う
×こうう
〇あらがう
争う、逆らう、張り合う。「運命に抗う」。「抵抗」「反抗」の「抗」のこと。
一世一代
×いっせい一代
〇いっせ一代
能や歌舞伎の役者が引退を前に、一生の仕納めとして得意の芸を演じること。また、「一世一代の大勝負に出る」のように、一生に一度、の意味で用いる。
ただし、最初の人の意味では「エリザベス一世(いっせい)」、その時代の意味では「一世(いっせい)を風靡(ふうび)する」と「いっせい」と読む。
今際の際
×こんさいのさい
〇 いまわのきわ
死ぬまぎわ、臨終の時。
「今際」は、「今となっては」の意味で、古くは「今は」と書いた。「は」は助詞で、「際」は当て字なので「いまぎわ」とは読まない。
有象無象
x ゆうしょうむしょう
〇 うぞうむぞう
この世のどこにでもいる雑多なつまらない人々のこと。「有象無象のやから」のようにいやしめていう。
恭しい
×きょうきょうしい
〇うやうやしい
敬意をもって、へりくだる。人に対して礼儀正しく、丁寧な様子を表す。恭は「きょう」とも読む。「恭賀新年J「恭順」など。
心悲しい
×こころかなしい
〇うらがなしい
なんとなく悲しいさま。
「心(うら)」は「裏」と同語源で、人には見えない内側の心、気持ち、の意の古語。
運否天賦
× うんぴてんふ
〇うんぷてんぷ
運は天任せ、ということ。「こうなったら運否天賦で前進するしかない」のように用いる。
気息奄奄
× 気息あんあん
〇気息えんえん
息も絶え絶えのようすをいう。「奄(えん)」はおおう、の意。いおりの「庵」と似ているため「あん」と読に間違えやすい。
夥しい
〇おびただしい
「夥しい人出」など、数量が非常に多いことを表す。ひらがな表記が無難。
覚束ない
×かくそくない
〇おぼつかない
物事がうまく運ぶかどうか疑わしい、心もとないことを形容する言葉。「成功は覚束ない」「足元が覚束ない」など。ひらがな表記が無難。
徐に
×じょじょに
〇おもむろに
物事がゆっくりと起こる様子を表す。「徐に財布からお金を取り出した」など。これもひらがな表記が無難。
託ける
×あずける
〇かこつける
ほかのことを口実にする。「託」には、頼りにして任せるという意味と、ほかの物事を利用してものを言うの意味がある。
上意下達
×上意げだつ
〇上意かたつ
喧しい
×やかましい
〇かまびすしい
うるさい、騒がしい様子を表す。喧は「けん」とも読み、声を立ててわめき回る、の意。「喧嘩J「喧燥」「喧伝」など。
歯に衣着せぬ
×歯にいちゃくせぬ
〇歯にきぬ着せぬ
思ったことや感じたことを、遠慮することなく言ってのけるさまを意味する表現。
気骨が折れる
× きこつが折れる
〇きぼねが折れる
気を遣って疲れる、気疲れすることをいう。
- 「きぼね」=気遣い、気苦労。
- 「きこつ」=困難や障害に屈しない強い心。「気骨(きこつ)のある人」
俠客
× きょうきゃく
〇 きょうかく
昔の博徒などをいった。この場合の「客」は「…に長じた人」の意味で、「きゃく」ではなく、「かく」と読む。
「剣客」「刺客」「食客」「論如」などは 「かく」と も「きゃく」とも読む。
行住坐臥(ざが)
X こうじゅう坐臥
〇ぎょうじゅう坐臥
行くこと、とどまること、すわること、横になること、の意から、日常の立ち居振る舞いのこと。転じて、ふだん、つねづね、の意味でも用いる。
行年
X こうねん
〇ぎょうねん
人がこの世に生きた年数をいい、ふつう、「行年八十」のように、死んだときの年齢をあらわす数字の上に添えて用いる。「行」は経る、 の意。
「享年(きょうねん)」は、(天から)享(う)けた年、の意。
奇しくも
×きしくも
〇くしくも
不思議にも、偶然にも。
言質
×げんしつ
〇げんち
後に証拠となる言葉。「言質を残しておく」。
哄笑
×きょうしょう
〇こうしょう
大口を開けて笑うこと。「きょうしょう」は「嬌笑」で女の色っぽい笑いの意。
後生畏(おそ)るべし
×ごしょう畏るべし
〇こうせい畏るべし
「後生」は、あとから生まれてくる人、後進、後輩のこと。
「後生畏るべし」とは、後進の者の能力は計り知れないからあなどってはいけない、ということで、 『論語』からのことば。
「ごしょう」と読めば、のちの世に生まれ変わること、また、来世の意味で、別語。
「後生を願う(極楽往生を願う)」「後生大事にする(大切に持ち続ける)」「後生だから(お願いだから)」などは「ごしょう」と読む。
頭を回(めぐ)らす
x あたまを回らす
〇こうべを回らす
後ろを振り返って見る、また、過ぎ去ったことを回顧するという意味の慣用句。「こうべ」は「首」と書くこともある。
杮落とし
×かきおとし
〇こけらおとし
新築した劇場などで最初に行う興行。果物の「柿」の字に似ているが、つくりの縦棒がつながっていて「市」とは異なる。
挙って
×あがって
〇こぞって
残らず、みんな、ことごとく。ひらがな表記が無難。
然したる
×しかしたる
〇さしたる
これというほどの、たいした。下に打消の語を伴って「さしたる問題ではない」などと使う。
宛ら
×あてら
〇さながら
まるで、ちょうど。
捌く
×てづく
〇さばく
混乱したものや難問を巧みに処理する。「仕事を捌く」。馬の手綱さばきも「捌き」。相撲の「前捌き」。「捌けた人」は世慣れて物分かりが良い人。
三界
× さんかい
〇さんがい
「三界」は、欲界・色界・無色界、また、過去・現在・未来のこと。
- 「女は三界に家無し」とは、女は家にいるときは親に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従うもので、どこにも安住する場所はないということ。
- 「子は三界の首枷(くびかせ)」とは、子を思う心のために親は生涯束縛されることのたとえ。
参内
× さんない
〇 さんだい
恣意
×じい
〇しい
思いついたままの考えや、勝手気ままな心。
扱く
×さばく
〇しごく
細長い物を手などで挟み、引き抜くようにしてこすり落とす、中身を出す、たるみをなくす。転じて激しい訓練を加えること。
手紙を認める
X 手紙をみとめる
〇手紙をしたためる
「したためる」は、書き記す意味。
舌鼓を打つ
x したづつみを打つ
〇したつづみを打つ
大事件が出来する
× 大事件ができする
〇大事件がしゅったいする
定石
×ていせき
〇じょうせき
囲碁用語。最善とされる決まった打ち方のこと。転じて、物事を進める際に最善とされる一定の方法や手順。将棋では「定跡」と書く。
真面目を発揮する
× まじめを発揮する
〇しんめんもくを発揮する
この場合の「真面目」は真価、本領の意味で、「しんめんもく」または「しんめんぼく」とも読む。
「まじめ」と読めば、真剣であること、誠実であることの意味で、別語。
清清しい
× せいせいしい
× きよきよしい
〇すがすがしい
※貴乃花が引退した時に、この言葉を用いました。「清々しい気持ちです」。
数寄屋造り
x すうきや造り
〇すきや造り
「数寄」は「すき」と読んで、風流・風雅を好むこと。「好き」と同じ語源で、「数寄」と書くのは当て字。
「すうき」と読むと別語で、「数奇な運命をたどる」は、運命がはげしく変化することをいう。この場合の「数」は運命、「奇」は思いがけない、の意。
清拭
× せいしょく
〇 せいしき
病人などの体をふいてきれいにすること。
「払拭(ふっしょく)」から、「せいしょく」と読みがちだが、正しくは「せいしき」。
殺生
x さっしょう
〇せっしょう
漸次
×ざんじ
〇 ぜんじ
だんだん、次第に。「景気は漸次回復しつつある」のように用いる。
「暫時(ざんじ)」はしばらくの間、の意。
唆す
×さとす
〇そそのかす
よくない行動をさせるよう誘導する、勧める。
「示唆」などの唆(さ)は、元来、欲望を刺激して悪いことをさせるという意味。
碩学
×いしがく
〇せきがく
学間が広く探いこと。「碩」は大きい、という意味。
相好を崩す
X そうこうを崩す
〇そうごうを崩す
硬い表情から一転、にこにこすることをいう。「相好」は顔つき、表情のこと。
罵詈雑言
×罵詈ざつげん
〇罵詈そうごん
ひどい悪口をいうこと。
相殺
X そうさつ
〇そうさい
造作ない
×ぞうさくない
〇ぞうさない
「造作ない」は、手間がかからない、たやすいさまをいう。
「ぞうさく」と読むと、建物を建てること、建物の内部の仕上げ、また、顔のつくりのことで、別語。
素封家
×すほうか
〇そほうか
代々続いた資産家、大金持ちのこと。「封」は領地の意。
大人の風格
x おとなの風格
〇たいじんの風格
「大人(たいじん)」は、徳の高い立派な人、人格者のこと。反対語は小人(しょうじん)。「おとな」と読めば、成人、また分別のある人。
大勢が決まる
x おおぜいが決まる
〇たいせいが決まる
おおかたの形勢が決まること。「おおぜい」と読めば、人が多いことで、別語。
忽ち
×こつち
〇たちまち
忽は「こつ」とも読み、「忽然と」などの語がある。さらに、うっかりするという意味もある。「粗忽(そこつ)者」。
長広舌
× ながこうぜつ
〇ちょうこうぜつ
長々としゃべりたてること。
追従を言う
×ついじゅうを言う
〇ついしょうを言う
おべっかをいうこと。「ついじゅう」と読めば、人のあとに従う、の意で、別語。
序でに
×じょでに
〇ついでに
これもひらがな表記が無難。
築山
× ちくやま
〇 つきやま
日本庭園で、土砂や石で造った人工の小山のこと。 古語で、きずくことを「築く(つく)」という。
具に
×ぐに
〇つぶさに
詳しく、漏れなく。具は「そな(える)」とも読み、十分にそろっているという意味と、事細かにという意味を持つ。
釣瓶落とし
x つりべ落とし
〇つるべ落とし
「釣瓶」は、井戸の水を汲むための、竿や縄の先につけた桶のこと。
床につく
×ゆかにつく
〇とこにつく
名代の店
X みようだいの店
〇なだいの店
世間に名が知られている、有名、の意。
「みょうだい」と読めば、人の代わり、代理、の意で別語。「父親の名代を務める」のように用いる。
生兵法
× なまへいほう
〇なまびょうほう
兵法を少しは知っているが、未熟なこと。転じて、なまかじりの知識・技術。
「生兵法は怪我のもと」。
習い性となる
× 習いしょうとなる
〇習い、せいとなる
習慣がたび重なると、生まれつきの性質のようになってしまうこと。「習い」が「性となる」ということで、「ならい、せいとなる」と読む。
労う
×ろうう
〇ねぎらう
働きや骨を折ってくれたことに対して礼を言う。労ると書く場合は「いたわ(る)」と読む。
背馳
×はいた
〇はいち
そむくこと。「背」は後ろ向きになる、「馳」は速く走る、の意。
白砂青松
x しらすなあおまつ
〇はくしゃ〔はくさ〕せいしょう
白い砂浜と青い松原が続く、海岸の美しい風景の形容。
播種
x ばんしゅ
〇はしゅ
種をまくこと。
甚だしい
×かつだしい
〇はなはだしい
程度が激しいことを表す。「誤解も甚だしい」「甚だしい被害」など、通常マイナスの文脈で使う。副詞として使う場合は「甚だ残念だ」など。
頒価
×ぶんか
〇はんか
多くの人に広く配る物品の価格。「頒」は分け与えるの意。「頒布(はんぶ)」は広く配り、行き渡らせること。
腸が煮えくり返る
×ちょうが煮えくり返る
〇はらわたが煮えくり返る
凡例
×ぼんれい
〇はんれい
辞書などの始めに、編集方針や使い方、記号の説明などを箇条書きで記した部分。
払拭
× ふっしき
〇ふっしょく
きれいにぬぐい去ること。「疑惑を払拭する」
反故
×はんこ
〇ほご
書き損じるなどして不要になった紙。無駄。取り消すこと。「約束を反故にする」など。「反古」とも書く。
臍をかむ
×へそをかむ
〇ほぞをかむ
くやしい思いをする、後悔すること。
熱る
×ねつる
〇ほてる
顔や体が熱く感じること。「火照る」とも書く。
- 暑い・暖かいは環境の温度。
- 熱い・温かいは物や心身の温度。
幕間に弁当を食べる
×まっかんに共当を食べる
〇まくあいに弁当を食べる
芝居で一幕が終わって、次の幕が開くまでの間を「幕間」という。 その間に食べたところから、 その弁当を「幕の内弁当」という。
股座
|〇またぐら
末期の水
×まっきの水
〇まつごの水
「末期(まっき)のがん」など、似たような場面で使うことがあるので誤りやすい。
- まっき=ある物事の末の時期。終わりに近いころ。「戦争の末期」「平安末期」
- まつご=人の死に際(ぎわ)。臨終。「末期の言葉」
目の当たりにする
× めの当たりにする
〇 まの当たりにする
「目の当たり」は目の前の意。
未曽有
×みぞゆう
〇みぞう
歴史上一度も起こったことがないこと、非常に珍しいこと、 訓読ずると「未(いま)だ曽て(かつ)て有らず」。
目深
×めぶか
〇まぶか
帽子などを目が隠れるほど、深くかぶるようすをいう。
|
身を粉にする
× 身をこなにする
〇身をこにする
一心に働くことのたとえ。
無碍
×むく
〇むげ
障害がないこと。「むげに断る」は「無下」。
「融通無碍な考え」「融通無碍に処理する」など。
貪る
×どんる
〇むさぼる
貪欲。際限なく欲しがる、欲深く求める。「暴利を貪る」。
役所をわきまえる
x やくしょをわきまえる
〇やくどころをわきまえる
自分に与えられた役割を心得るということ。
野に下る
× のに下る
〇やに下る
公職を退いて、民間人となることで、「下野する」ともいう。「野」は権力の座にいない、民間、の意。「在野(ざいや)」「野党(やとう)」の「や」。
夭逝
×ようせつ
〇ようせい
「夭」はおさない、若い、の意で、「夭逝」は若くして死ぬこと。
同義で「夭折(ようせつ)」ということばがあり、間違えやすい。
老若男女
X ろうじゃくだんじょ
〇ろうにゃくなんにょ
年齢・性別関係なくあらゆる人のことをいう。舌がもつれそうになるが、頑張って発音しましょう。
弁える
×べんえる
〇わきまえる
違いを見分ける、区別する。道理やマナーを十分に理解して振る舞う。
参考にしたのは次の本です。ためになる本です。
プラスα(私の記憶と経験と『大辞林』)です。
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