「あなたが自分を好きになれないのは親の育て方に原因がある」と占い師から言われた女性。
彼女は言います。
「親と素直に向き合えなくなった」
「いけないと思いつつ許せない気持ちが顔に出る」
「親を傷つけている自分がますます嫌いになりそう」
- 【四柱推命・紫微斗数・心理学】親の育て方が性格を決める?
- 【心理学】性格はいかにつくられるか
- 【四柱推命・紫微斗数】性格はいかにつくられるか
- 【四柱推命・紫微斗数】親の影響が及ぶ命式・命盤の例
- 【あとがき】こんな性格になったのは親のせい?
【四柱推命・紫微斗数・心理学】親の育て方が性格を決める?
いくら気をつけても特定の病気になりやすい体質があります。
生まれ持った体質は変えられません。
それと同様に、どんな育て方をされても変えられない性格があります。
それを気質といいます。
体質と気質ばかりは親がどう頑張っても変えられません。
その根本を理解しておく必要があります。
「自己肯定感の低さは100パーセント親が悪い」
というセリフに私が引っかかるのはそこです。
育て方が性格の100パーセントを支配することはありえないからです。
パーソナリティー(個性)の構造
次の図は有名ですよね。
①気質
- 生まれた時からの傾向(親の育て方は無関係)
②気性
- 親からの教育や家庭環境からの影響
- 長い期間かけて身につく価値観など
③習慣
- 生活サイクル、趣味趣向
- 今の生活環境
④社会的役割
- 組織(職場・家庭・学校など)での人間関係や立場からの影響
簡単にまとめると、性格・個性=気質と気性
- 気質は変わらない(先天的なもの)
- 気性は変えられる(後天的なもの)
- 社会的役割は変わりやすい(外的影響を受けやすい)
- 自分の意志で自分を変えるには「③習慣を変える」のが近道
となります。
そこで話を戻します。
「自己肯定感の低さに苦しんでいるのは親のせいです」
は影響はあっても絶対ではないということです。
「親のせい」
一時期「毒親」が流行りました。
「社畜」以上に怖い言葉だと私は感じました。
たしかに「親のせい」の部分もあるでしょう。
しかし、100パーセントであるはずはなく、そんなことを指摘されても言われた本人は親を恨むしかありません。
「100パーセント親のせい」の言葉には、未来への発展性はありません。
その女性の命式を見ましたが、影響はあっても絶大ではありませんでした。
そもそも、「親の育て方があなたの性格の全てを作ったのです」は、大変失礼な言葉だと思います。
なぜなら、人は誰でも人格を持っていて、親の操り人形ではないのですから。
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【心理学】性格はいかにつくられるか
詫摩武俊氏『性格はいかにつくられるか』から以下を抜粋します。
性格の形成という問題について、私はつぎのように考える。
育てかたや生後のさまざまな環境によって、性格が変化することを充分認めるが、それでもなお、人は白紙のままで生まれるものではなく、性格にも遺伝的基礎が厳として存在することを強調したい。
中略
さらに大切なことは、人の性格は単に遺伝によって決定されるもの、あるいは環境によって左右されるものというように、受動的にのみつくられるものではなく、自分自身で自らの性格を、ある方向に形成していこうとする積極的で能動的な面も見逃してはならない。
この問題は、実際には、理想の自己に現実の自己をどのようにして適応させるかという問題として、しばしば提起される。
そして、とくに青年期は自分自身により多くの関心が集中し、あるべき姿の自己と、現実の自分自身との間に矛盾や不調和が感じられやすくなる。
この不調和感や、それに由来する悩みをどの方向で解決させようとするかによって性格がつくられてくることもある。
中略
しかし、人には、ただ一回だけの、恐らくは偶発的な事件がその性格に強い影響を残すことがある。
あることを目撃してしまったこと、ある人との出会いや別れ、ふと手にした本、性についての不幸な体験などが、消し難い印象をその人に与え、それがその人の性格の形成に強い影響をもつことがある。
一回だけの事件が与える影響については、歴史的な方法を用いての研究もなされなくてはならない。
中略
くり返して述べるが、性格の形成過程は複雑の一語につきる。
それは、各人の遺伝的要因がさまざまである上に、きわめて複雑な環境的要因が、長い時間的経過のうちにはたらきかけているので、そこに作用している一般的法則をとらえることが容易でないからである。
遺伝的特徴の中には、たとえば眼の色、指紋のように発生の初期にあらわれて、その後変化しないものもある。
しかし心理学で問題とする特徴は遺伝規定性の著しいと考えられるものでも発達の過程でしだいにあらわれ、その個人差が固定してくるのである。このことは知能の発達を考えれば理解されよう。
したがって、ある人の遺伝的素質がどの程度のものであるかは、その素質を開発するあらゆる努力をしてはじめてわかることなのである。
性格の形成にあたって遺伝か環境かと抽象的に論じたり、身辺のわずかの経験を土台にして感想を述べるのは簡単であるが、実証的な基礎に立って、この問題を解明していくためには、双生児法の制約を充分考慮に入れた上で、一卵性のふたごと二卵性のふたごを比較し、さらに一卵性のふたごに見出された差の由来を追求していくことが、現段階では地味ではあるが、もっとも有力な方法なのである。
- 私の性格がこうなってしまったのは全部親のせい
- 子どもの性格がこんなふうになってしまったのは、全部親である私のせい
どちらも決めつけるのはナンセンスなのであります。
【四柱推命・紫微斗数】性格はいかにつくられるか
運命学の観点からも見解を述べてみます。
生まれ持った気質
- 命式・命盤にあらわれる
親の影響と育児の向き合い方
- 命式・命盤にある程度あらわれる
育つ環境の影響
- 命式・命盤にある程度あらわれる
出会う師などの影響
- 傾向としてはあらわれるが限定と断定は危険
出会った本からの影響
- 傾向としてはあらわれるが限定と断定は不可能
遭遇した大きな出来事
- 命式・命盤に傾向としてあらわれる
以上をまとめると、命式・命盤に最もハッキリあらわれるのは「生まれ持った気質」だと言えます。
後天的なものは、傾向を見ることができても100パーセントを見通すことは不可能です。
仮にそんなことができたなら、その人の運命は100パーセント決まっていたことになります。
そんな人生はつまらないでしょう。
60~70パーセントの運命を授かりながらこの世に生まれ、残りの30~40パーセントを自分の努力で創り上げる。
少し言い方を変えます。「100パーセント決まっている運命でも30~40パーセントは自分の努力で変えられる」。
そうでなければ、人間はただのリモコンロボットに過ぎない存在になります。
だから、「あなたの人生は100パーセントお見通し」などの奇妙な断言に振り回されないことが肝要です。
また、「自分がこうなったのは100パーセント親のせい」も論外であり、そんな発言をするのは占い師か新興▲教以外にはありえないのです。
誰かのせいにするのではなく、現実の足元を見ながら人生を歩むことが何より重要でしょう。
この女性の悩みの根源は、自信のなさにありました。
「どうすれば自信が持てるのでしょう?」
来年からの10年間は待望の「印綬運」が巡ってきます。
地支も身旺地です。
身弱の人にとっては、待ち望んだ良い運気です。
「乾いてひび割れした心に恵みの雨が降り注ぎます。だんだん自信も回復します」
「それから、これまでの人生で親からもらったものを数えてみるといいですよ」
とお話しさせていただきました。
お父さん亡き後、お母さんは必死の思いで彼女を育ててくれたそうです。
「それを思い起こすと涙が出そうになる」
確かにかなり性格に癖のあるお母さんのようです。
でも、昭和の時代に女手一つで二人の子供を育て上げるには、強い向かい風に立ち向かうアクの強さも必要だったのでしょう。
穏やかで優しいだけでは立ち向かえなかったに違いありません。
「親を責める気持ちは少しずつ断捨離していきます」
と言ってくれました。
「断捨離」。流行の言葉ですね。
私は流行語には疎いのですが、
「自分を責める気持ちもだんだんと断捨離されていきますよ」
と言いました。
【四柱推命・紫微斗数】親の影響が及ぶ命式・命盤の例
「親の育て方が性格形成に100パーセント影響する」
これはないと書いてきました。
しかしながら、影響は否定できません。
次に紹介する男性は大きく影響を受けていると考えられます。
日干【甲】の男性の命式です。
甲(大木)は大地に根を下ろし真っ直ぐに立つことが理想です。
そのためには、太陽(丙)と雨の潤い(癸)。そして、根を守る土(己)が必要です
枝葉が茂り過ぎるときは、刃物(庚・辛)で剪定する必要も生じます。
癸は「印綬」として「母」とします。
壬の「偏印」も水です。古くは「義母」とみました。
この命式は「印綬と偏印」、つまり水が多すぎます。
印綬・偏印=水
これだけ水が多すぎると、親の害が及ぶと言わざるを得ません。
過干渉、過保護の可能性が高いです。兄弟縁も薄くなりがちでしょう。
根を張るための土(己)は、時柱にありますが空亡にあり、しかも力が弱いです。
己は「正財」ですから「妻」とします。
この男性は、妻という土(己)に根を張りたくても、強すぎる母(水)に邪魔されてなかなか根付くことができません。
親の影響から夫婦関係に害が及びやすい人です。
また、本人も根を張れないため精神も安定しません。
絵にするとこんな感じの運命になりがちです。
次に「精神」に焦点を当てるため、紫微斗数命盤の「福徳宮」を見てみます。
文昌星は吉星ですが、その宮のカルマも示します。
精神面の克服が男性のテーマといえます。
生年化忌があります。心に重たいものをため込みやすい人です。
自化科もありますので、ますます精神面が不安定になりがちだとわかります。
さて、原因は父母宮の生年化科にあります。
親の宮にある生年化科が、精神を意味する福徳宮に自化科として影響を及ぼしています。
父母宮の星を見ても、親との関係が良好とは言えません。
凶星もあり、トラブルを暗示しています。
それでいて、あまり親に反論できずに育った男性のようです。
その影響が、精神状態に及んでいると見てよいと思われます。
このように、命式・命盤を一目して心の問題が人生にのし掛かってくる男性とわかります。
ちょっと気の毒ではありますが、もう40歳近い年齢です。
状況をみつめて、生き方を自分の手で構築していくことが必要だと考えます。
早く気づくことが大切でした。しかし、遅くはありません。
性格は自分の力で改善できる部分もあるのですから。
この男性も「すべて親が悪い」なんて考えると、人生袋小路にハマります。
「親の影響はあるかもしれない。でも、これからは自分で解決する」
という強い意志が肝心でしょう。
根を張るための土(己)が命式になければ、自分の足で踏ん張ればよいのです。
この命式と命盤ですが、男性の奥さまから了承をいただいて掲載しています。
鑑定の際にお話しを伺いましたが、そうとうな苦労をなさっていることを追記いたします。
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【あとがき】こんな性格になったのは親のせい?
二人の子どもを育てた友人から言われた言葉です。
私にアドバイスをくれたのです。ご紹介します。
「子どもは自分の持ち物ではない。授かりものだ」
「授かっている以上は責任がある。大事なものを預かっているんだから」
「いいか、子どもを自分のものだと勘違いしたらあかんで」
「甘えてくるうちは甘えさせてやるのがいい。腕枕を欲しがるならやってあげればいい」
「そのうち、子どもの方から『もういいよ』と言ってくる。それまでは抱っこでもなんでもしてあげるのがいい」
「授かりものだから、親が思うようには絶対育たない」
「同じ育て方をしても二人は全然違う性格になった」
「授かりものなんだから、親の思い通りに育たないのは当たり前。それぞれ性格が違うのが当たり前」
「そうじゃろ?自分の持ち物だと思い込んだらあかんで」
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