奇門遁甲。主に方位術として用いられ、吉運を得たり凶運を避けるために使う人が増えています。
日本では気学が有名ですが、それとは別物です。
「いつから使われ、いつ完成したの?」など、多くの謎があります。その歴史を簡単にまとめてみました。
中国の王朝と奇門遁甲の歴史
◆夏?
◆殷(商)/前16世紀~前11世紀
◆西周・東周/前11世紀~前256年
呂太尚(ろたいしょう)
- 太公望(たいこうぼう)の呼び名の方が一般的。
- 周建国に寄与したとされる軍師。
- 兵法として奇門遁甲を用いたとされる。(考証不十分)
◇春秋戦国時代
*この時代に生まれた有名なもの
故事成語⇒「管鮑の交わり」「臥薪嘗胆」「完璧」「合従連衡」
漢詩⇒「詩経」
◆秦/前221年統一~前206年
張子房(ちょうしぼう)
- 張良(ちょうりょう)の呼び名が一般的。
- 「鴻門の会」で誰もが目にする有名人。
- 黄石公(こうせきこう)から兵書を譲り受けたとされ、それが「太公望兵書」だった。
- 奇門遁甲を駆使して諸国を平定。(考証不十分)
◆前漢/前202年~後8年
奇門遁甲が広まることを警戒し、意図的にデタラメなやり方を流布したとされる。
◆新/8年~23年
◆後漢/25年~220年
◆三国/220年~265年
諸葛孔明
- 張良が使った奇門遁甲をさらに改良し連戦連勝(異説あり)。
- 奇門遁甲の説明に最も多く出てくる人。
◆西晋・東晋/265年~420年
◆北魏(北朝)・南朝/439年統一~589年
◆隋/581年~618年
◆唐/618年~907年
*ちょっと寄り道
2大詩人「李白と杜甫」が生きた時代
◆五代・十国/907年~960年
◆北宋・南宋/960年~1279年
◆元/1271年~1368年
◆明/1368年~1644年
劉伯温(りゅうはくおん)
- 明の建国に際し大きな功績を上げた。
- 『焼餅歌(シャオピングー)』(予言詩)
- 『滴天髄(てきてんずい)』(四柱推命の古典)
- 『奇門遁甲秘笈全書(きもんとんこうひきゅうぜんしょ)』
◆清/1616年~1912年
◆中華民国/1912年~1949年
◆中華人民共和国/1949年~
私個人の力には限界があるため、気になる書物については中国文学、あるいは中国哲学を専攻・研究している友人に見解を伺ってみました。
しかしながら、「これこそ原典」と思しき古典はまだ見つかっていません。
諸葛孔明が書いたとされる書物もあるようですが、時代などに矛盾もあり単なる「権威づけ」だと思われます。
また、「黄帝が天帝(天地の創造主)から授かった」という説もありますが、神話の域から出ないものと思われます。
以上から、古典に答えを求めるのは今のところ困難を極めるようです。
ただ、紀元前から存在が伝わっていることから、効果は認識されていたと考えるのが自然ではないでしょうか。
スポンサーリンク
ついでに寄り道「諸子百家」
儒家(じゅか)
主な書物:『論語』『孟子』『荀子』
孔子(こうし)/前551年頃~前479年
- 春秋時代の社会混乱の中で西周初期の礼の復活を説いた。
- 孝(親につくす)悌(兄につくす)を基礎とする仁の世界を理想とした。
- 徳をもって民衆を導く徳治主義を主張した。
★孔子とキリストが共通して説いた教えとは、
孟子(もうし)/前372年頃~前289年頃
- 孔子の「仁」の思想を受け継いだ。
- 「性善説」で有名。
- 「仁義」による政治(王道政治)を理想とした。
- 易姓革命(天命の尽きた王朝の交替を正当化)
荀子(じゅんし)/前298頃~前235頃
- 孟子の「性善説」を批判した。
- 人間の本性を悪とする「性悪説」を唱えた。
- 人間社会の秩序を維持する規範として「礼」を重視した。
- 法治主義への道を開いた。
道家(どうか)
主な書物:『老子』『荘子』
老子(ろうし)/生没年未詳
- 万物の根源を唯一絶対・永遠不変の「道」と説いた。
- 「無為自然」・「小国民」を理想とした。
- 神仙説、陰陽五行説と結合し、道教を生んだ。
荘子(そうし)/前4世紀頃
- 老子の「道」を土台に、自我を捨てて万物の絶対性に従う生き方を説いた。
法家(ほうか)
主な書物:『韓非子』
商鞅(しょうおう)/前?年~前338年
- 「法」による信賞必罰を政治の基本的手段とすることを主張した(法治主義)。
- 秦の孝公に仕え、法制を改革し強国に導いた。
- その苛酷な法の施行で民衆から恨みを買った。
- 自らが作った法により車裂きの刑に処された。
韓非(かんぴ)/前?年~前233年
- 荀子から学びを経て、商鞅の法思想を継承し大成した。
李斯(りし)/前?年~前210年
- 荀子に学び、始皇帝に仕えた。
- 統一政策を画策。
墨家(ぼっか)
主な書物:『墨子』
墨子(ぼくし)/前480年頃~前390年頃
- 儒家の説く「仁」を差別愛として非難した。
- 兼愛((自己への愛と他者への愛との間に差別を設けない)を主張。
- 交利(相互扶助)・非攻(侵略戦争の阻止)を説いた。
- 儒家と激しく論争した。
縦横家(じゅうおうか)
主な書物:『戦国策』
蘇秦(そしん)/前?年~前317年
- 秦に対抗するため、東方六国の連合同盟を唱えた(合従策)。
張儀(ちょうぎ)/前?年~前310年
- 合従策に対抗し、秦と東方六国の個別同盟を唱えた(連衡策)。
陰陽家(いんようか)
鄒衍(すうえん)/前305年~前240年
- 陰陽説→五行説→陰陽五行説
兵家(へいか)
主な書物:『呉子』『孫子』
呉子(ごし)/前440年頃~前381年頃
孫子(そんし)/生没年未詳
- 戦術を説くだけでなく、内政の充実と外交の重要性も説いた。
- 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
- 「動かざること山の如し」
名家(めいか)
主な書物:『公孫竜子』
公孫竜(こうそんりゅう)/前4~前3世紀
- 名(概念)と実(実体)の関係を研究した。
- 「白馬は馬にあらず」
農家(のうか)
許行(きょこう)/前4~3世紀
- 農業生産の重要性を主張した。
★過去記事もどうぞよろしく!
ポチッと応援していただけるとハッピーです!