四柱命式で比肩や劫財が強い人は「自我が強い」とされ、紫微斗数命盤で命宮に主星がないと命無星曜格といって、「自我が弱く、周囲の環境から影響を受けやすい」とされています。
ところが、比肩・劫財が強いのに「命無星曜格」の人は少なくありません。
【四柱推命】劫財が強い命式「性格と人生」
20歳くらいまでは真面目な学生だったが
月支に「劫財」があって強いと、個性が強い人になります。
- 気が強く、闘争心がある
- 意地と根性がある
- プライドが高い
- 人付き合いが良い人気者(おもしろい人という印象を持たれる)
- 駆け引きが上手
- しつこく、図太く、粘り強い
- 一攫千金を夢見て、株やギャンブルに夢中になる
- 金銭感覚のバランスを欠く
- 自己顕示欲が強い
- 起業家になることがある

たとえば、次のような四柱命式の人です。

月上偏印の影響で、次の性質も加わります。
- やや調子が良い
- 不思議な人気運がある
- 自分の生き方や考え方に強いこだわりを持つ
- 臨機応変に対応できるが、考え方の一貫性がやや乏しい
年柱に「正官」が透干しているため、20歳くらいまでは真面目な学生生活を送っていたと推測できます。
その時期が過ぎると、月柱の影響が強くなるため、「正官」より「偏印」が優位に働くようになります。
生真面目な生き方から、気まぐれでユニークな生き方へとギアチェンジしていきます。
「化金格?」専門家でも迷う難しい命式
ところで、この命式は簡単ではありません。
ある著名な鑑定士Aさんは、「この命式は『化金格』です」と言いました。
つまり、内格(普通格)ではなく、外格(特別格)だと。
日干「庚」と時干「乙」は干合して金化します。(月支は申)
月支「申」・日支「戌」・時支「酉」は、西方合して五行は「酉」、すなわち「辛」にエネルギーが集中します。辛は「劫財」に該当します。
その理屈から「化金格」と言われたわけです。
ところが、他の鑑定士Bさんは「この命式では化金しません」と言いました。
年柱の「丁」が透干してそこそこ強いです。
この丁は火剋金として金を剋すため、乙庚干合は金に化せないという理論でした。
つまり、「化金格」には該当しないということです。
こちらの鑑定士Bさんもその道では有名な人で、ちなみに言えばAさんと同じ流派の人です。
専門家でも意見が分かれるのです。
【結論】「特別格」ではなく「普通格(内格)」
私は、この命式は「普通格」だと考えます。
乙庚の「化金格」は、次の条件に適う必要があるからです。
- 必ず生月が申か酉、または巳酉丑の金局であることが条件
- 化気五行を剋す天干地支がない
- 妬争の合がない
この命式は、1と3はクリアしますが、2の条件が適いません。
年柱に「正官(丁)」がなければ「化金格」になれたはずです。
喜神は、土運・金運・水運なので、もし化金格に該当するならその時期の運気はとても良かったはずです。
完全な化金格に入れば、富貴の命となります。
話を元に戻します。
この「劫財」が強い命式の人を紫微斗数で見ると、自我が強くないとされる「命無星曜格」になります。
不思議ですよね。元来、四柱推命も紫微斗数も根っこは同じところから派生したものです。であるならば、鑑定の結果は同じにならないと矛盾するのです。
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劫財が強い「命無星曜格(紫微斗数)」の性格と人生
【紫微斗数】命無星曜格の人生傾向
自分の意志(命宮)より、周囲(遷移宮)の影響を受けやすい人生になります。
時代や環境(学校や会社など)、人との出会いが人生を左右する傾向が強いです。
命宮が命無星曜の人の特徴は次のようになります。
- 自我(エゴ)は強くない
- 人や環境の影響を強く受けやすい
- 親しい人間関係を求める
- 裏表がなく、思ったことを口にしやすい
- 友人が多い(気づかいするため)
- 独特の雰囲気と存在感がある
人間関係を大切にするため、友人の数が多く、集団では独特の存在感を発揮します。
さて、この人の紫微斗数命盤です。

右下の「命宮」に主星がありません。「命無星曜格」です。
しかし、四柱命式では劫財が強く、日干のエネルギーも強いのです。つまり、自我が相当強い人と見ます。
これは一見すると矛盾しています。
第二の命宮「疾厄宮」に生年化忌がある
ところが、紫微斗数命盤をよく見ると、意外にもこだわりが強い人だとわかります。
それは、「第二の命宮」と呼ばれる「疾厄宮」に生年化忌があるからです。
化忌はこだわりの星と言われ、それが疾厄宮にあると、無意識のマインドでこだわりが強い人になります。
つまり、表には出さないが、心の内部で強い自我を持っている人と分析できます。
そして、これこそ「劫財」の性質にピッタリ符合します。
劫財は二重人格の星とも言われ、人当たりは良いのです。
また、良い人に見られたいという願望が強く、そのため協調性も発揮します。
その協調性の根っこは、あくまでも自分のためであり、打算性を秘めていますが…。
つまり、劫財の協調性は悪く言えば表面上の性質で、内面はやはり強い自我とこだわりを持っています。
紫微斗数命盤でも、表面上(遷移宮)に気を配り、第二の命宮(疾厄宮)には強い自我を持っている人だと出ています。
こだわりと自我は100パーセント同じ意味ではありませんが、重なる要素は少なくありません。
すなわち、四柱命式(劫財が強い)と紫微斗数命盤(命無星曜格)は、矛盾どころが一致点が多くあると結論づけることができます。
遷移宮に「貪狼星」と「廉貞星」
さらにダメ押しすると、この命盤の遷移宮には「貪狼星」と「廉貞星」があります。
命宮に主星がない場合は、遷移宮の星から性格を類推します。
その性格の作用は70パーセント程度と命宮の主星より力量が下がりますが、それでも、その性質をしっかり持っています。
そして、「貪狼星」と「廉貞星」ともに個性が強い星です。
廉貞星・貪狼星がミックスすると
- 行動的で落ち着きがなく、家に籠もることを好みません。
- 人生の起伏が激しく、吉凶の波も大きいです。
- 忙しく人生を送るわりに成果が出にくいです。
- 専門分野や一業に専念すれば成功も可能です。
- 外出、交際、飲食の機会、さらには異性縁も多いです。
- 冒険心が旺盛で、金銭欲が強いです。株やギャンブルに関心を寄せます。
- 飲食業やサービス業に向きます。
- 口の災いが多く、言葉使いに注意が必要です。
- 異性との色情トラブルに注意が必要です。
- 占い相談が多いタイプです。人生が波乱傾向になりやすいからです。
- 芸能、娯楽、社交界、ファッション界など華やかな世界に向きますが、波乱も多いです。
- 比較的派手な顔立ちをしています。
こちらから見る性格も、劫財と重なる点が多くありますよね。
結論を書くと、四柱命式と紫微斗数命盤から読み取れる性格は、ほとんど一致するとなります。
ただし、命無星曜格の象意は出ますので、周囲や社会から影響を受けやすい面があるのは否定できません。
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【あとがき】「劫財」が強いのに「命無星曜」の人
この四柱命式は、劫財のエネルギーが正官より強いです。
そうなると、次のように分析できます。
- 真面目で保守的な気持ちを持ちながら、一方では、自由奔放に生きたいという本能のほうが勝ります。
- こういう矛盾した要素を秘めているため、人からなかなか理解されない部分があり、本人も悩みやすくなります。
- もともと社会的活動運は強いです。後天運で、財星や官星が強まるような運が来れば、発福する可能性が十分あり、社会的な活躍が期待できます。
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