「こだわりの味」「こだわりの家」などはよい「こだわり」といえます。
さて、紫微斗数の「化忌」は「こだわりの星」です。
生年化忌がある宮から、人生がツラくなる原因・生きにくくなる要因が分析できます。
そこにその人の「こだわり=執着」が現れるからです。
【紫微斗数】生年化忌「こだわりが人生に与える影響とは」
【日本語の歴史】「こだわり」は悪い意味で使われてきた
長谷川櫂さんが著書『和の思想』で「こだわり」について、とてもわかりやすく説明してくれています。
そのまま引用します。
「こだわる」という言葉は「こだわりの味」とか「水にこだわったコーヒー」とか、最近はいい意味で使われることが多いが、日本語の歴史を振り返ってみると、この言葉はずっと悪い意味で使われてきた。
その理由のひとつは仏教がこの世のものに執着すれば極楽往生の障りになると、ものにこだわること、執着することを厳しく戒めたからである。しかし、500年代の半ばに仏教が日本に伝来する前から、この言葉はいい意味の言葉ではなかった。というのは、日本の夏はじめじめして蒸し暑いので、何にでもこだわっていたら、その人もそれを見ているまわりの人々も暑苦しくてたまらない。
そこで、この国では昔から何ごとにもこだわらないこと、さらりと忘れて水に流すことを美徳としてたたえてきた。
まさに「いき」というわけだ。むしろ日本人が大昔から育んできたこの感性の台座に、大陸から朝鮮を通って日本に伝わった仏教の戒めがうまい具合に乗ったということだろう。この国では何ごともこだわるより、なりゆきに任せることが重んじられる。周到に準備されたもの、完璧に整えられたものは、たしかに感心されるにちがいないが、決して感動されることはない。なぜなら、周到に準備したり、完璧に整えたりすること自体がわずらわしく暑苦しい思いをさせるからである。
日本人が心から感動するのは、むしろ臨機応変に成しとげられたものであり、ありあわせのものである。ところが、これが難しい。周到に用意することは人の力によってできるが、なりゆきに任せるということは人の力だけでなく、それを超えるものの力が加わらなければできないからである。
その二つの力が合わさったとき、そこには自在な間が生まれ、ほんとうによいものにめぐり会えたとしみじみと心を動かされるのだ。
引用〈長谷川櫂『和の思想』〉
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【こだわりが生み出すもの】北のベーアの考察
長谷川さんの文章は大変わかりやすく、私は大いに得心しました。
そんな大先生の後に文章を続けるのは気後れします。
しかし、ここは厚顔無恥に私の考えを書き記します。
- 「味にこだわる店」⇒おいしいものを作ってくれる予感
- 「住みやすさへのこだわり」⇒快適な家を建ててくれる予感
以上が「こだわり」の良い作用です。
「当店のコーヒーは水にこだわっています」とアピールされたら、「きっとおいしいコーヒーが飲めるに違いない」と思うはずです。
では、負の側面について言及してみると、
- こだわり⇒気になる⇒そこから離れられない
- こだわり⇒少しのズレも許せない⇒排他的になる
ということで、
「気になるところから意識が解放されない」⇒「心が縛られる」
となります。
80%では満足できなくなるのですね。
そして、こだわりが過剰になると、
- 欠点が気になり、心が解放されない
- 他人や自分を許せない、譲歩できない
- イヤなものを受け入れられない
- 完璧になるまで立ち止まって動かない
- 目的のためには排他的にもなる
などの悪影響が出てくるように思います。
人間は一度気になると、どうでも良いことでも気になってしまう生き物です。
「そんなこと気にしなくてもいいのに…」と周囲が思っても、本人はそこが気になり前に進めない。
それが「こだわり」の本質ではないでしょうか。
次からが本題です。
人生の航海図を示してくれる【紫微斗数命盤】において、生年化忌が入る宮は非常に大きな意味を持つことを書きたいと思ったのです。
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【紫微斗数】生年化忌は「こだわりの星」人生を大きく左右する
元来「こだわり」は良い意味ではなかったと書きました。
紫微斗数命盤を分析するにあたって、特に注視すべきは「生年化忌」が入る宮です。
生年化忌のある宮がその人の「こだわり」の発信源だからです。
生年化忌の作用とは
生年化忌の作用をザッと書き記します。
- 応用が利かない。臨機応変な対応が苦手
- 効率的でない
- そのことにこだわらないと気がすまない
- 人に合わせるのが苦手
- 苦労、負債、孤独、不安、過敏、前世でのトラブル感情
生年化忌が「兄弟宮」「夫妻宮」に入る人は
たとえば、
兄弟宮に【生年化忌】がある人は、
- 兄弟、姉妹、親友、信頼している人と距離を保とうとする
- 長く一緒にいると気疲れし距離を取りたくなる
ということで、人と親しくなることができにくくなります。
理由を書くと長くなるので割愛しますが、これらも「こだわり」が原因といえます。
そのため、
- 親友ができにくい
- 一人が好き
- 理解しにくい人に思われがち
- 恋人ができにくく、できても長続きしない
- 結婚しても配偶者と心が通いにくい
という象意が出やすくなります。
夫妻宮に【生年化忌】がある人は、
- 結婚する可能性が高い(【化忌】の付く星の性別が異性の場合)
- 苦労やイヤなことが続くなどして別れたくなりやすい
- 配偶者のことが頭から離れない
- 配偶者のめんどうを背負うことになりやすい
- ずっとそばにいると気疲れする
- 最後には大きな収穫を手にすることも(【化忌】の獲得)
- 互いに束縛される状況が生じやすい
繰り返しますが、これらも「こだわり」が原因です。
以上は「兄弟宮」と「夫妻宮」の例ですが、紫微斗数命盤には12の宮があります。
命宮・兄弟宮・夫妻宮・子女宮・財帛宮・疾厄宮・遷移宮・奴僕宮・官禄宮・田宅宮・福徳宮・父母宮
生年化忌が入る宮によって「こだわり」のあらわれかたはさまざまです。
しかし、どの宮に入っても生年化忌は強い作用を発揮します。
そして、良くない作用は自化忌がある宮で現象化します。
それゆえ、自化忌がなければ悪い作用は出にくくなります。
たとえば、対人関係がうまくいかない人は、奴僕宮に自化忌があったりするわけです。
その根本原因は生年化忌がある宮ということになります。
私の紫微斗数の師匠のブログに生年化忌についての説明があります。ご参照ください。
遷移宮の化忌が悪い理由(続編) | 占い 宮立命 紫微斗数(星曜派・飛星派+欽天四化)
ということで、自分のこだわりがどこに向いているのか、あるいは向きやすいのかを知ることは、人生を豊かに生きることへの第一歩であるといえると思います。
こだわりの傾向=意識が向きやすい場所、意識の方向性⇒苦労・停滞の原因
自分の意識の傾向を知ることは、人生傾向の理解につながります。
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