「人間は自分ひとりが得をしすぎると不快に思う」そういう知的な生き物です。
さらに、「返報性の原理」も本質を知らないと感謝が憎しみに変わります。
利得最大の原理
人間は、自分が「得」をする行動を選択する
人は、本能的に自分に得になることを最大限得られるようにしたいと思うものです。
- 給与は、同じ条件なら多くもらいたい
- 結婚する相手はできるだけ美男美女が良い
- 魅力ある友だちはたくさん増やしたい
- カッコいい車に乗りたい
「人のために自分を犠牲にする」行為は?
「人のために自分を犠牲にする」という行為も、
- 相手や周囲の人たちから良く思われたいという欲求
- 社会の中で認められる人としての理想像に近づきたい
といった、社会的な価値観や育った環境から影響を受けたものであるとも言えます。
マーク・トウェインの『不思議な少年』を高校時代に読んだとき、私は大きな刺激を受けました。
人は自分にとって損失となることは最小限に留めたい
- 悪口を言われて喜ぶ人はいないはずです
- お金を損するとわかって株を買う人はいないはずです
- 倒産するとわかって会社を設立する人もいないはずです
- 100%フラれるとわかって告白する人もいないでしょう
人は行動をする際、得になると思われることを選択して行動に移します。
このことを利得最大の原理と呼びます。
公平性の原理
人間社会には公平さが必要不可欠
人間は、自分たち1人1人の力は非常に弱い存在であることを自覚しています。
「何とかしなければ力の強い肉食動物に食べられてしまう!」
という危機感があったに違いありません。
そこで選択した方法は、集団で生きていくことでした。
集団を作り、お互いに協力し合うことで強い動物に対抗して生きていくことを選んだわけです。
そうして現代では、力の弱い肉食動物を支配する力を持つようになりました。
分業をすることで、効率が上がり利便性も高まり、生活の質も上がっていきました。
これは、集団の力なくしては不可能なことでした。
集団は、やがて社会となって先人たちの知恵を受け継いだり、お互いに情報交換をすることによって、どんどんパワーアップしながら発展していきました。
自分のことしか考えなかったら集団から干される
さて、集団で生きていくにあたって、一番ツラいことは村八分にされることです。
自分の利益だけを考えて、他者を傷つけたりダマすようなことをすれば、その人間は集団から排除されてしまいます。
これは長期的な視点から見ると、自己の存亡に関わる一大事です。
自分が集団にいることで得られるはずの利益を失ってしまうことになるからです。
そのため、人間は集団の中での公平性を意識するようになってきました。
社会集団を成立させていくためには、利益が公平になるように分配される必要があります。
不公平感が多く内在する集団は、やがて分裂や崩壊の時を迎えるからです。
これは、企業や地域社会、学校にも該当することでしょう。
このように人間社会という集団に必要な行動原則を公平性の原理と呼びます。
- 利得最大の原理 ⇒ 短期的な視点の利益
- 公平性の原理 ⇒ 長期的な視点の利益
返報性の原理
してあげないと気が済まない人に潜む危険性
人は社会の中で生きていくために、
- 自分の利益だけを追求したい欲求を抑え、公平性を考えながら行動していく
⬇
- 利益を独占できる状況になっても、心地よいと感じることができなくなる
ある研究の結果は
恋愛関係にある男女の間で、一方的に様々なものを与えられた人間は与えてくれる人間に対して、
- 幸福感
- 満足感
- 罪悪感
- 怒り
という4つのうちどの感情を強く抱くようになるか?という研究があったそうです。
どこの国のどの組織の研究だったかは失念しました。申し訳ありません。
「心理的負債」は罪悪感から怒りへと変わる
その結果わかったことが、一方的に物を与えられ、得をし続けた人は、だんだん罪悪感を強く感じるようになる
その段階を過ぎると、相手に対して強い怒りを感じるようになる
ということでした。
これは、お返しをしなくてはならないという社会的規範が個人の価値観の中存在するからだと考えられます。
公平の原理を壊したくない心理が働くためでしょう。
- 心理的負債 ⇒ お返しができないほど得をすると罪悪感と心苦しさを覚える
- 返報性の原理 ⇒ 公平を保つためにお返しをしたいと思う心理
ということで、
- 与えられることが続くと、「もうしてくれるな!」と怒りを覚える。
- 与え続けていた方も、「お返しもよこさねえのか!」と怒りを覚える。
どっちにしても怖いですね。
利得最大の原理・公平性の原理・返報性の原理の3原理は、人間社会を成立させる重要な要素です。
おわりに
人への施しもほどほどに
「私は見返りなど求めないからいいのだ」
と自分では思っても、相手を苦しめる結果に繋がるなら考え方や行動を改める必要があります。
ギブ・アンド・テイクというのは「公平性の原理」に通じることです。
公平性というのは、バランスに置き換えることもできます。
すべてのものはバランスで成り立っている
感情もバランスが大切です。
- 感情のバランスが取れない人と一緒にいると疲れます。
- やがて、その人から去るしかなくなります。
仕事もバランスが大事でしょう。
- いくら熱心だからといって、体を壊すまで働いたらいつか破綻が来ます。
- 他の人の仕事に介入しすぎると迷惑になります。
倹約もバランスが必要です。
- いくら節約といっても、1年中素食生活だったり、一切のリラクゼーションを断って暮らしていたら、いつかは心が壊れます。
夫婦生活もバランスが大切です。
- 妻ばかりが家事をやり、夫が外で遊んでばかりいたら…結果は見えています。
- 夫が労働も家事もすべてを請け負い、妻はテレビゲームと寝てばかりでは離婚も近いでしょう。
しつこくなったので、この辺でやめますが、世の中はバランスで成り立っていて、実は四柱推命学が最も重んじることもバランスなのです。
宇宙も地球も、そして人間もバランスで成り立っている
この宇宙も人も、木・火・土・金・水という5つのエレメントで成り立っていて、そのバランスが崩れた命式の人は、不安定な人生を歩むと見ます。
そのバランスを示したものを命式と呼んでいます。
命式を見ると、その人の運命のバランスがわかります。
いつ、どの時期にバランスを大きく崩すかも見えてきます。
そこから人生を推命するわけです。
人生を成功裡に歩む人の命式は、当然バランスが良いです。
うらやましいです。
私の命式は、劫財という通変星が強く、財を剋し、妻を剋します。
本当にそういう人生を歩んでいます。
振り返ってみると、命式が示す通りの人生を歩んでいることに、私自身が戦慄すら覚えます。
それにしても、
遙か古の先人たちも、バランスこそが大切と知っていたのですね。
人間の英知は本来素晴らしいものなのだと思います。
最近の日本や世界を見ると、何か大事なバランスが崩れてきていると感じて仕方がありません。
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