人間は「自分ひとりが得をしすぎると不快に思う」という生き物です。
意外ですよね。
最近は、「自分だけが得をしたい」という人が増えていることは事実です。
それでも、人間の本性を鑑みると「自分だけが得をする」ことが続くと違和感を覚えるようです。
本来、知的で高尚な生き物だからでしょうか。
さて、「返報性の原理」も本質を知らないと感謝が憎しみに変わります。
人に施しをするにも過剰になってはいけないということですね。
人間は単純ではないのです。
【利得最大の原理】人間は、自分が「得」をする行動を選択する
人は、本能的に「自分の得を最大限ゲットしたい」と思います。
「宝くじで一等賞が当たって欲しい!」などは、その典型ですね。
- 給与は、同じ条件なら多くもらいたい
- 結婚する相手はできるだけ美男美女が良い
- 新しくて立派な家に住みたい
などなど、人間の欲望には限度がありません。
そして、「一度得たものは逃がしたくない」とも考えます。
給与を理由もなく下げられて怒らない人はいませんよね。
「利得最大の原理」何のための自己犠牲か?
そこで疑問がわいてきます。
「自分を犠牲にして、他人に尽くす人もたくさんいるけど?」
という疑問です。
他者に尽くす行為は、確かに美しいし、尊いと思います。
しかし、悲観論的な見方をすると、次のような理屈も成り立つようです。
それは、「人のために自分を犠牲にする」という行為も、
- 相手や周囲の人たちから良く思われたいという欲求
- 社会の中で認められる人としての理想像に近づきたいという欲求
といった欲求からの行為であるという理屈も存在します。
マーク・トウェインの『不思議な少年』には、「他者への親切も自分のため」という理屈が綴られています。
高校時代に読んだとき、私は少なからぬショックを受けました。
「利得最大の原理」人は自分の損失は最小限に留めたい
人は誰でも損をしたくありません。
次に書くことも、「損」の部類です。喜ぶ人は誰もいないはずです。
- 友だちから悪口を言われる
- 儲からない株を買う
- 自分が立ち上げた会社が倒産する
- 好きな人にフラれる
- 会議であえて嫌われる意見を言う
上のどれも「やりたくない」「そうなりたくない」ことです。
できれば避けたいですね。
損をするとわかっていることは、何とかして避けようと努めます。
反対に、人は得になりそうなことを選んで行動に移します。
このことを利得最大の原理と呼びます。
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【公平性の原理】人間は本質的に公平を求める
「公平性の原理」人間社会には公平さが必要不可欠
人間は、自分たち1人1人の力は非常に弱い存在であることを自覚しています。
「工夫しなければ強い肉食動物に食べられてしまう!」
という危機感があったに違いありません。
そこで選択したのは、集団で生きていく方法でした。
集団を作り、に協力し合うことで強い動物に対抗する生き方を選んだわけですね。
そして現代では、力の強い肉食動物をも支配する力を持つようになりました。
分業をすることで、効率が上がり利便性も高まり、生活の質も上がっていきました。
これは、集団の力なくしては不可能なことです。
力と知恵を出し合い、合わせていくことで、強くなってきたわけですね。
集団は、やがて社会となりました。
そして、知恵を後世に残したり、情報交換をすることによって、パワーアップしながら発展してきたわけですね。
「公平性の原理」自分勝手は集団から干される
さて、集団で生きていくにあたって、一番ツラいことは村八分にされることです。
村八分にされる主な原因は、
- 自分の利益だけを考える
- 他者を傷つける
- 他者をだます
となります。繰り返すと、その人間は集団から排除されてしまいます。
さて、村八分は、自己の生命に関わる一大事です。
集団にいることで得られる利益を失ってしまうことになるからです。
要するに、
- 自分のことしか考えない人間は生きていけない
- 集団のことを考えて行動できる人間が生きていける
となります。
そうしてしだいに、人間は集団の中での公平性を意識するようになってきたのだと思われます。
社会集団を成立させていくために必要なことは、
- 利益が公平になるように分配されること
- 損得の不公平感が起こらないこと
不公平感が多く内在する集団は、やがて分裂や崩壊の時を迎えます。
これは、企業や地域社会、学校も同じでしょう。
えこひいきする先生や上司は嫌われます。
それは、人間が求める公平性に欠けるからでしょう。
このように人間社会という集団に必要な行動原則を公平性の原理と呼びます。
- 利得最大の原理 ⇒ 短期的な視点の利益
- 公平性の原理 ⇒ 長期的な視点の利益
人間は本質的に公平を求める生き物ということですね。
それでいて自分は得をしたいのですから、何とも複雑な生き物です。
【返報性の原理】もらいすぎると感謝は怒り・憎しみに
「返報性の原理」してあげないと気が済まない人(危険)
人は社会の中で生きていくために、
- 自分の利益を追求したい欲求を抑え、公平性を考えながら行動していく
⬇ そのため
- 利益を独占できても、「なんだか心地よくない」と感じる
ある研究の結果では、
恋愛関係にある男女の間で、ひたすら与えられた人間は与えてくれる人間に対して、
- 幸福感
- 満足感
- 罪悪感
- 怒り
の「4つのうちどの感情を強く抱くようになるか?」
という研究があったそうです。
どこの国のどの組織の研究だったかは失念しました。申し訳ありません。
「返報性の原理」心理的負債は罪悪感から怒りへと変わる
その結果わかったのは、物を与えられ続けた人は、だんだん罪悪感を強く感じるようになることでした。
「罪悪感」の段階を過ぎると、今度は相手に対して強い怒りを感じるようになる
とそうです。
怒りはしだいに憎しみへと…。
怖いですね。
良かれと思ってやったことが原因で憎まれるなんて…。
「返報性の原理」どうして憎まれるの?
人はもらうと、お返しをしなくてはならないと考えます。
お返しをしないと「公平の原理」が壊れてしまう。
そのことを無意識に恐れるからということでしょう。
- 心理的負債 ⇒ 得しすぎると罪悪感と心苦しさを覚える
- 返報性の原理 ⇒ 公平を保つためにお返しをしたいと思う心理
ということで、
- 与えられることが続くと、「もういらない!」と怒りを覚える。
- 与え続けていた方も、「お返しもよこさねえのか!」と怒りを覚える(かも)。
どっちにしても怖いですね。
利得最大の原理・公平性の原理・返報性の原理の3原理は、人間社会を成立させる重要な要素です。
【おわりに】大事なものはバランス
人への施しもほどほどに
「私は見返りなど求めないからいいのだ」
と思ってしたことが、結果として相手を苦しめる…。
やはり人間は相手の感情と状況を判断しながら生きるべき社会的動物なのですね。
ギブ・アンド・テイクというのは「公平性の原理」に通じることです。
公平性というのは、バランスに置き換えることもできます。
すべてのものはバランスで成り立つ
感情もバランスが大切
- 感情のバランスが取れない人と一緒にいると疲れます
- その人の感情に振り回され、やがて、その人から去るしかなくなります
仕事もバランスが大切
- 仕事熱心でも、体を壊すまで働いたらいつか破綻が来ます
- 他の人の仕事に介入しすぎると迷惑になります
倹約もバランスが必要
- 一切の贅沢をしないまま暮らしていたら、いつか心が壊れます
夫婦生活もバランスが大切です。
- 妻ばかりが家事をやり、夫は外で遊んでばかりいたら…
- 夫が労働も家事もやって、妻はテレビゲームと寝てばかり
上のようなご夫婦、時々見聞します。
しつこくなったので、この辺でやめますが、世の中はバランスで成り立っていて、実は四柱推命学が最も重んじることもバランスなのです。
「大事なものはバランス」宇宙も地球も、そして人間も
この宇宙も人も、木・火・土・金・水という5つのエレメントで成り立っています。
そのバランスが崩れた命式の人は、不安定な人生を歩みがちになります。
「四柱命式」を見ると、その人の内面の先天的バランスがわかります。
その人の運命のバランスがわかります。
いつ、どの時期にバランスを大きく崩すかも見えてきます。
そこから人生を推命するわけです。
人生を成功裡に歩む人の命式は、当然バランスが良いです。
古の先人たちも、バランスこそが大切と知っていたのですね。
最近の日本や世界を見ると、何か大事なバランスが崩れてきていると感じて仕方がありません。
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