10センチの差が、生徒の生命と私の人生を救った体験話です。
立ち位置が一歩違っていたら、新聞・ニュースに出る大事件になるはずでした。
本当に恐怖の一瞬でした。
ミスをしたのは私。数メートル上から、重たい鉄棒を落下させてしまいました。
【人生最大のピンチ】あわや!業務上過失致死!?
いきなり衝撃的なタイトルですが、大げさではありません。
約20年前の春、ステージ横のハンドウィンチ(ワイヤーのリール)の使い方を間違えた私は、危うく生徒の命を奪うところでした。
当時、生徒会を担当していた私は、「対面式」の横一文字を下ろすためハンドウィンチを操作しました。
その時、ステージ上では生徒会の生徒複数人が後片付けをしていました。
そんな折、あろうことか私はハンドウィンチのストッパーを外してしまったのです!
その直後、恐ろしい速度でリールが回転を始めました。
「マズい!」と思いましたが止める術もなく、長くて重い棒はステージ上から急降下して床の上に落下しました。
ガッシャーン!!
という激しい音が鳴り響くと同時に、
「キャー!」と大きな悲鳴が聞こえました。
あれは本当に恐怖の一瞬でした。
「横一文字」を提げる鉄の棒
学校のステージの上に横一文字が垂れ下がることは皆さんご存じと思います。
「第〇回 入学式」「第〇回 卒業証書授与式」などが書かれた大きな紙のことです。
生徒会行事では、「対面式」「新入生歓迎会」「学校祭」などの文字を掲げます。
横一文字は、長い鉄の棒に貼り付けられます。
こういう棒です。
長い棒を上げ下げするには、ステージ横にあるハンドウィンチ(確かこんな呼び名だったような…)を手で回します。
ベンチプレスを経験した人ならわかると思いますが、鉄の棒は重いです。
それが数メートルの長さだと、かなりの重量になります。
重たい鉄棒を落下させた!
20年ほど前、私はハンドウィンチの使い方を間違って、重い鉄の棒を上から一気に落下させてしまったのです。
ちなみに、今のハンドウィンチは安全対策がもっとしっかりしていると思います。
前々任校は、まだ古い設備がたくさん残っていました。
生徒の目前10センチ
「キャー!」と叫んだのはH井さんという女の子でした。
「いきなり目の前10センチくらいのところを…」
と怯えながら説明してくれました。
瞬間、彼女は何が起きたのかわらなかったみたいです。
いきなり黒い物体が上から目の前を通り過ぎて、次の瞬間、ガッシャーン!と足元の床に落ちたのですから。
「キャー!」と叫んだのは、目の前を通り過ぎたものが、重たい鉄の棒だと気づいた瞬間だったようです。
その瞬間、恐怖で身がすくんだそうです。
当然ですよね。
「棒は床の上をハネ返りました」(青ざめた顔で)
H井さん、優しくて良い子でした。
私を全然責めたりしませんでした。
ごめんなさい。ありがとう。
もし、頭にぶつかっていたら、間違いなく君の命は…。
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その時の私…
ハンドウィンチが不気味な回転を始めた時、
- 何とかして止めよう
- 叫んで生徒を避難させよう
この二つの選択で、私は一瞬迷いました。
しかし、どちらも間に合わないことを瞬間的に察していました。
おそらく時間にして、3秒ぐらいだったと思います。
リールの回転は棒の重さのため、私の目の前でドンドン加速していきます。
生徒の頭を直撃していたら、間違いなく即死だったことでしょう。
(上の写真は、違う学校のものです。
この学校は、ミスをしないように箱でカバーしてあります。
ハンドルもしっかりしているため、事故は起きないはずです。)
「過失により生徒を死なせた」と新聞に出るのは当然ですが、何より尊い命を奪っていた可能性が高いです。
私からすると、
- 目の前では、ハンドウィンチが加速しながら回転(不気味な音も混じって)
- 背後では、複数の生徒が後片付け(振り向く余裕もなかった)
「危ない!」と叫んでも、生徒は避ける間もなかったに違いありません。
恐怖のため身を硬直させてかえって危険な状況になった可能性もあります。
とにもかくにも、私は目の前のハンドウィンチを止めることができず、かといって後ろにいる生徒達に「避けろ!」と叫ぶこともできずにいました。
数メートルに及ぶ長い棒です。ステージ上に生徒が複数います。
直撃する可能性は非常に高かったといえます。
頭に当たったら即死!?
肩や足の甲に当たっても骨折では済まなかったはずです。
全員が無事であることを確認した時、運の助けに心から感謝しました。
もし誰かに当たっていたら、今の私は全然違う人生になっていたことでしょう。
【人生最大のピンチ】10センチで助かった
H井さん「生命のピンチ」、私「人生のピンチ」
何度も書きます!何度かいても足りないくらいの大ピンチでした。
H井さんにとって。そして、私自身も。
H井さんが、もし10センチ前の位置にいたら、彼女は今この世にいなかった可能性が高いです。
幸いにして、他の生徒は落下地点から1メートルくらい離れていました。
何しろ下から見上げると、この高さからの落下です。
彼女も、「こんなのに当たっていたら、私、絶対死んでいた」
そうなったら、本人はもちろん、ご両親をも不幸のどん底に追い込んでいたはずです。
だから、彼女の方こそ「九死に一生を得た」、ホンモノの「不幸中の幸い」だったわけです。
私は、「当たらないでくれてありがとう」
とワケの分らないことを彼女に言いました。
ほんの一瞬の出来事が人生を変える
- 私は、10センチで人生が救われました。
- H井さんは、10センチで命が救われました。
さて、今回は私の体験を書きましたが、運に救われたギリギリの経験を誰でもきっと持っていると思います。
- 「自分は不運な人」と思い込む人は、アンラッキーを呼び込むと言われます。
- 「自分は幸運な人」と信じる人に、ラッキーが寄ってきてくれるようです。
成功した人、偉いと言われる人のほぼ全員が、「私は運が良かった」「私は運が強い」
と言っています。
★過去記事もどうぞよろしく!
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