多くの人がやっていることが正しい、と思えてくるのが人の心理です。
「お客様の声」「体験者の声」などは、その効果を利用した典型といえます。
- みんながやっている=正しい
- みんなが批判している=正しくない
この考えに振り回されると、個人も国家も危険です。
子どもを育てる上でも「自分で考える、そして判断する」という習慣と姿勢は大事に育てたいものですね。
※2020年10月の記事を加筆・訂正しました。
【行動の心理】行列が行列を呼ぶ
「行列が行列を呼ぶ」という言葉があります。
例えば飲食店の前に列ができていると、それを見た人たちもつられて行列に加わっていくという現象のことです。
実はラーメン店ではこの状況を逆手に取ることが多い。
提供時間が長くかかれば、当然のことながら客席の開店は悪くなる。
結果、待っているお客さんが店の外の並ぶことになる。
いわゆる「行列のできるラーメン店」の何割かは、このトリックを使って、あえて行列を演出しているのだ。
これも立派な戦略だと思うし、「行列」は店にとって最高の看板になるので、多少、回転率が悪くなっても、最終的には損はしないだろう。
『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学』
「麺ジャラスK」店主/プロレスラー 川田利明さん
「あえてゆっくり作ることで行列を作る戦略を取る店もある」ということです。
えげつないですね。
ちなみに私は行列が苦手です。人に酔ってしまいます。
だから人気店にはあえて思い切り時間を外して行きます。
東京にいた頃は平気だったのに、北海道に帰ってからは人混みが苦手になりました。
今では、札幌の街でも長い時間歩くと疲れを感じるようになってしまいました。
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社会的証明の原理「皆がやっていることは正しい」
人には「多くの人がやっていることこそが正しい」と思ってしまう心理があり、これを心理学では「社会的証明の原理」と呼んでいます。
並んでまで食べたいとたくさんの人が思うほどの店=おいしい店
と直感的に判断してしまうわけです。
「皆がやっていることは正しい」の心理からの行動ですよね。
実は怖い「皆がやっていることは正しい」の心理
正解のない物事を判断する時、誰だって迷い悩みます。
そんなとき「皆がやっているから!」は簡単に答えを与えてくれる、そんな甘い誘惑を投げかけてきます。
これは、「多数決は正しい!」と思い込んでいる現代人の弱点かもしれません。
物事の正しさを判断する際、賛同者の多寡を基準にしてしまいがちです。
思えば「郵政民営化」の議論が盛んだった頃は、反対意見を表明する人を悪者扱い、バカ者扱いする風潮すらありました。
「多くの人が賛同しているのに、反対するなんてどうかしてるんじゃないの?」
となったわけです。
当時は、「構造改革」の名の下に、改革を進めれば暮らしがきっと豊かになる。それを反対するなど許せない…。という雰囲気がありました。
それは、多数の賛同意見があったからこそ出来上がった雰囲気です。
少数だと、その空気はできません。
2010年に民主党が政権を奪取した際も、そんな感じがあったように思います。
「新しい政治が始まる」
「日本は変わる」
「コンクリートから人へ」
人は上手なキャッチフレーズにも弱いといえます。
「元祖と本家」も大衆を引き寄せるキャッチフレーズの一つでしょうね。
「元祖と本家、どっちが上なの?」。
昔、見学旅行の引率の際、京都で生徒からよく質問されたものです。
「〇十年の実績」「伝統の◆◆」もキャッチフレーズの効果を狙ったものですね。
これは「権威の原理」の方に該当します。
お金を支払う前に、
- 何の「伝統」なのか
- その裏づけは何なのか?
を考えることが必要ですね。
それから、同業他社をむやみに貶すのは、対比的に自分の「権威」を高めることを狙った行為といえそうです。
しっかりした会社の営業マンは、お客さんに対しては、
「同業他社をあからさまに貶すな」
「しっかりしたデータを示して比較してもらえ」
と教わります。
教育というか、人間性の問題だと私は感じますが。
「私の多くの実験結果から」も同じ狙い
商品を売る際に、
「私のたくさんの実験結果から…」を目にすることがあります。
これも「たくさん」「多くの」と多数を訴えています。
- 多くの実績
- たくさんの研究
- 長年の経験
に一目置いてしまうのが人の性です。
しかし、それをうたうなら、少なくともデータの一端は示すべきでしょう。
実験結果のデータを全く示さずに、「多くの」「たくさんの」だけが書かれてあるなら、それは“ただの感覚“です。
そういう怪しい広告がどんどん増えているような気がします。
子どもの得意技「みんな持っている」「みんなやってる」
ゲームなどを買って欲しいときの常套文句ですね。
今は高校入学と同時にスマホを買い与える家庭が多いです。
ひと昔前までは、「高校に入学したら腕時計」でしたが、時代は変わったようです。
これも少数になってきましたが根強いのは「高校に入学したら電子辞書」です。
しかし、科目によって1年生のうちは、紙辞書を使わせる高校もまだ少なくありません。
確認してから購入した方がよいかもしれません。
それにコロナ禍の影響で、今は学校のWi-Fiを経由してタブレットを使って勉強する時代になりました。
電子辞書の役割も終わりを迎える可能性が高いです。
せっかく買っても学校で使えないとなれば、ストレスになります。
何はともあれ、子どものオネダリで「みんな持っている!」は昔から常套句ですよね。
親はつい、「うちの子だけ持ってなかったらかわいそう」「話が合わず仲間はずれにされないかしら…」と心配になり、つい財布からお金が…。
クレーマーの得意技「みんな怒っている!」
「大勢の人が自分と違う意見を言う⇒不安になる」という心理があります。
同調の心理です。
「みんなアンタに怒っているぞ!」に人は弱いですよね。
その心理を利用した古典的なセリフが「みんな怒っているぞ!」です。
「俺はみんなの怒りの代表だぞ!」と言いたいわけです。
使い古されているので、ちょっと浅はかです。
「私は本気で怒っています」と冷静にかつ理論的に迫る方が、怒りがしっかり伝わる場合が多いと私は思いますが。
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【社会的証明の原理】「皆やってる」あとがき
人の判断に影響を与える原理について、いくつか書いてきました。
「ブーム」もその一つで、「みんなが楽しいならきっと…」の感情が、さらにたくさんの人を動かすのだといえます。
その反面、あまのじゃくも登場します。「アンチ」もその一つです。
しかし、アンチの本音は好きだったりするから人の心理は複雑なものです。
少なくとも「意識」しているから「アンチ」になるわけです。
昔大嫌いだった有名人を、今では大好きで応援しているなどの話は時折耳にすることです。
「大嫌いは大好きの始まり」はあながち間違いではないように思います。
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