「行列ができる店だからおいしい」「皆がやっているから、自分もやらないと」
人が人を呼ぶなど、大衆の力は大きいです。
社会的動物である人間は「皆がやっていることは正しい」と考える傾向があるようです。でも、これはけっこう怖いことですよね。
【行動の心理】行列が行列を呼ぶ
「行列が行列を呼ぶ」という言葉があります。
例えば飲食店の前に列ができていると、それを見た人たちもつられて行列に加わっていく現象をいいます。
実はラーメン店ではこの状況を逆手に取ることが多い。
提供時間が長くかかれば、当然のことながら客席の回転は悪くなる。
結果、待っているお客さんが店の外の並ぶことになる。
いわゆる「行列のできるラーメン店」の何割かは、このトリックを使って、あえて行列を演出しているのだ。
これも立派な戦略だと思うし、「行列」は店にとって最高の看板になるので、多少、回転率が悪くなっても、最終的には損はしないだろう。
『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学』
「麺ジャラスK」店主/プロレスラー 川田利明さん
「あえてゆっくり作ることで行列を作る戦略を取る店もある」ということです。
ちなみに私は行列が苦手です。
だから人気店にはあえて思い切り時間を外して行きます。
東京にいた頃は平気だったのに、北海道に帰ってからは人混みが苦手になりました。
今では、札幌の街でも長い時間歩くと疲れを感じるようになってしまいました。
きっと、年齢のせいですね。
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社会的証明の原理「皆がやっていることは正しい」
人には「多くの人がやっていることこそが正しい」と思ってしまう心理があり、これを心理学では「社会的証明の原理」と呼んでいます。
並んでまで食べたいとたくさんの人が思うほどの店=おいしい店
と直感的に判断してしまうわけです。
「皆がやっていることは正しい」の心理から生じる行動ですね。
実は怖い「皆がやっていることは正しい」の心理
正解のない物事を判断する時、誰だって迷い悩みます。
そんなとき「皆がやっているから!」は簡単に答えを与えてくれる、そんな甘い誘惑を投げかけてきます。
これは、「多数決は正しい!」と思い込んでいる現代人の弱点かもしれません。
物事の正しさを判断する際、賛同者の多寡を基準にしてしまいがちです。
思えば「郵政民営化」の議論が盛んだった頃は、反対意見を表明する人を悪者扱い、バカ者扱いする風潮すらありました。
「多くの人が賛同しているのに、反対するなんてどうかしてるんじゃないの?」
となったわけです。
当時は、「構造改革」の名の下に、改革を進めれば暮らしがきっと豊かになる。それを反対するなど許せない…。という雰囲気がありました。
それは、多数の賛同意見があったからこそ出来上がった雰囲気です。
少数だと、そんな空気はできません。
2010年に民主党が政権を奪取した際も、そんな感じがあったように思います。
「新しい政治が始まる」
「日本は変わる」
「コンクリートから人へ」
人は上手なキャッチフレーズにも弱いといえます。
「元祖と本家」も大衆を引き寄せるキャッチフレーズの一つでしょうね。
「元祖と本家、どっちが上なの?」。
昔、見学旅行の引率の際、京都で生徒からよく質問されたものです。
「〇十年の実績」「伝統の◆◆」もキャッチフレーズの効果を狙ったものですね。
これは「権威の原理」の方に該当します。
お金を支払う前に、
- 何の「伝統」なのか
- その裏づけは何なのか?
を考えることが必要ですね。
同業他社の誹謗中傷も「権威の原理」狙い
それから、同業他社をむやみに貶すのは、対比的に自分の「権威」を高めることを狙った行為といえそうです。
ちゃんとした会社の営業マンは、お客さんに対しては、
「同業他社をあからさまに貶すな」
「しっかりしたデータを示して比較してもらえ」
と教わります。
私もそのように教わりました。
「あからさまな他者の悪口は下品。やんわり遠回しに言え」と。
「私の多くの実験結果から」も「権威の原理」狙い
広告で「たくさんの実験結果から…」の表現を目にすることがあります。
これも「たくさん」「多くの」と多数を訴えています。
- 多くの実績
- たくさんの研究
- 長年の経験
に一目置いてしまうのが人の性です。
しかし、それをうたうなら、少なくともデータの一端は示すべきでしょう。
実験結果のデータを全く示さずに、「多くの」「たくさんの」だけが書かれてあるなら、それは“ただの感覚“です。
子どもの得意技「みんな持っている」「みんなやってる」
「みんな持ってるから買って欲しい」
子どもの得意文句ですね。
ひと昔前は高校入学と同時にスマホを買い与える家庭が多かったです。
ですが、今は小学生から持つ子が増えています。
最近の時代の流れは速いですね。
付いていくのが大変です。
昔は「高校に入学したら腕時計」でしたが、時代は変わったようです。
「高校に入学したら電子辞書」も、すでに昔の話になりました。
また、コロナ禍の影響で、今は学校のWi-Fiを経由してタブレットやchromeブックを使って勉強する時代になりました。
何はともあれ、子どものオネダリで「みんな持っている!」は昔から常套句ですよね。
親はつい、「うちの子だけ持ってなかったらかわいそう」「話が合わず仲間はずれにされないかしら…」と心配になり、つい財布からお金が…。
クレーマーの得意技「みんな怒っている!」
「大勢の人が自分と違う意見を言う⇒不安になる」という心理があります。
同調の心理です。
その心理を利用した古典的なセリフが「みんな怒っているぞ!」です。
「俺はみんなの怒りの代表だぞ!」と言いたいわけです。
私は、ちょっと浅はかな印象を受けます。
「私は本気で怒っています」と冷静にかつ理論的に迫る方が、怒りがしっかり伝わると思います。
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あとがき【社会的証明の原理】「皆やってる」
人の判断に影響を与える原理について、いくつか書いてきました。
「ブーム」もその一つで、「みんなが楽しいならきっと…」の感情が、多くの人を動かすのだといえます。
その反面、あまのじゃくも登場します。「アンチ」もその一つです。
しかし、アンチの本音は好きだったりするから人の心理は複雑なものです。
少なくとも「意識」しているから「アンチ」になるわけです。
昔大嫌いだった有名人を、今では大好きで応援しているなどの話は時折耳にすることです。
「大嫌いは大好きの始まり」はあながち間違いではないように思います。
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