「〇〇したい」と考えている時は、「そうしなさいよ!」と言われるほうが気分が良いものです。
反対に「やめた方がいいよ」という言葉は、自分の希望へのブレーキです。ブレーキをかけられて気分が良い人はいません。「この人に相談しなければよかった」と思うこともあるでしょう。
鑑定で客ウケが良いのは、本人の希望を読み取って背中を押してあげることです。でも、それが本当に誠意ある鑑定かどうかは大いに疑問です。

相談者は背中を押してほしい
- この人と結婚しても良いでしょうか?
- 転職した方が良いでしょうか?
- もう我慢できません。離婚しても良いでしょうか?
- 独立起業しても良いでしょうか?
- 姑と別居したいのですが?
などの相談は、相談者の胸の中にすでに答えが出ていることが多く、「背中を押してもらいたい」という願望が心の中に潜んでいるものです。
客ウケを大事にする軽薄な占い師は、その心を読み取り、「最後に背中を押してやろう」と結論を心に秘めながら話を聞くわけです。
相談者はそれに気付かず、「やっぱりそれで良かったんだ!」という満足感を胸に帰路につきます。
「これって本当の鑑定と言えるのかな?」と私は思います。
確かに、カウンセリングで相談者の心を落ち着かせることが目的の時は、背中を押すという形の共感が必要なことも多いです。
しかし、「この分かれ道で人生が決定する」という局面での相談はカウンセリングとは違います。
時には、相談者の意に反することを言うことも必要になります。
しかし、ほとんどの人は、自分の意思を尊重してくれる人、つまり背中を押してくれる人に好感を持ちます。
「やっぱりそうだったんだ!ああ、スッキリした!」
とその場では満足し、リピーターになってくれやすいわけです。
ですが、占いは人生を豊かにするための道具であって、刹那的に人を喜ばせるものではありません。
一時的に相談者の気分を悪くしてでも、見えることをしっかり伝えてあげることが誠意ある鑑定に違いないはずです。
【鑑定の実際】「独立開業して良いかどうか」
一例として、「会社を立ち上げて独立したいが、よろしいか」について書いていきます。
最初に「人間パワー」を鑑定
最初に見るのは、その人の「人間パワー」です。
四柱推命や紫微斗数で「その人」を観察します。
- 会社を率いるパワーを持っている人か
- 持って生まれた財運は良いか悪いか
- 人を統率するエネルギーがある人かどうか
- 社員に対してのカリスマ性がある人かどうか
- 客受けする人かどうか
- 取引先との関係性を良好に保てる人か
- これから向かう仕事に対しての適性はあるか
などを念入りに見る必要があります。
これらの中で不足する部分が多ければ独立開業はお勧めできません。
次に「今後の運気」を鑑定
次に見るのは、今後の運気です。
これから大きなことをする条件としては、
- 健康であること
- 財運が良いこと
- 人間関係の運勢が良いこと
- 仕事の運勢が良いこと
- 精神的安定感があること
- 社会運全体が良いこと
- 起業の時期としてふさわしい時期はいつか?
などの項目から可否を判断する必要があります。
これらのうち不足する部分が多ければ、「〇〇まで待つべきです」と言うべきです。
あるいは「今は◆と▲は不十分ですが、その分◇と▲で補いましょう」という助言が必要です。
しかし、今後良い時期が全然巡って来ないことがわかったら、
- 「やめたほうが良いと思います」
- 「今のまま進んだ方がベターです」
と言ってあげるのが人としての誠意なのは間違いありません。
目の前に深い谷間が見えているのに、「頑張って進みましょう!」などと言えるはずがありません。
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必要なら「卜占」を用いる
易やタロットなどを用いて、
- 「進むべきか待つべきか」
- 「留まるべきか行くべきか」
- 「方向性自体が正しいか否か」
など近い将来の吉凶を鑑定するのが「卜占」です。

これもまた不思議なほど良く当たります。
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【あとがき】簡単に背中を押してくれる人
無責任な肯定ほど危険なものはない
これは占い師に限ったことではありません。
人の話を聞くときに、自分に好感を持ってもらうことが目的の第一になる人が少なくありません。
親身に耳を傾けるふりをして、実際は自分の損得を考えている人のことです。
- 「ここは肯定した方が好かれるな」と考える人
- 「ここは否定しない方がいいな」と考える人
- 「共通の敵を作って置いた方が仲良くなれるな」と考える人
- 心配するふりをする人
数え上げるとキリがありません。
でも、本当に大切にしたい人は、言いにくいことを言ってくれる人だと思います。
簡単に「いいね!いいと思うよ!」と言う人は実は危険です。
「そうしなさいよ、アンタが正しいよ」と無責任に肯定する人を安易に信用しないことです。
人生は自分のもの「決定権は自分自身」
何より大事なことは「最終決断は自分にしかできない」ということです。
とはいっても、前述してきた「運命学・卜占」はかなりの確率で的中します。
大いに参考にし、活用したほうが良いと思います。
目の前に茨の道があっても覚悟さえあれば進めないことはないでしょう。
ただ、持って生まれた精神気力が弱い人には勧められません。
しかし、今後の10年あるいは20年間に限って、運勢的に精神気力が強くなるという人も少なくありません。
反対に、これまで運が強かった人が急速に弱い時期に入っていくという人もいます。
若いうちに多くの幸運を使い果たしてしまう人もいれば、大器晩成型の人だっています。
悲しいかな、一生にわたって幸運の時期が巡ってこない人もまれにいます。
人生の行方を大きく左右する決断が必要な場面では、自分のことを再確認してから決めることは決して無駄ではないと思います。
「その場誠実」に気をつけよう!
知り合いの占い師に「結婚の相談を受けた場合にはやめなさいとは絶対に言わない」という人もいます。
理由は、「一番ハッピーなことにブレーキをかけると印象が悪くなるから」。
「それだと占いにならない」と私は思います。
「厳しい相手を選びましたね。〇〇を乗り越える自信があるならゴーですね」
と私なら言うでしょう。
わざわざお金を払って鑑定の依頼してくださっているわけですから、わかることは良いことも悪いことも伝えてあげることがその使命だと思っています。
耳に良い言葉しか聞きたくないなら、少し距離のある友人に相談することが一番です。
本当の親友なら、良いことも悪いことも言ってくれるでしょう。
友人を思う心があるからです。
どんなに親しくても「それは違うよ」とは言いにくいものです。
それでも言ってくれる友だちは大事にしたいものです。

しかし、距離がある友達は「関係を壊したくない」という意識が働きます。
関係を壊さないためには、耳に良い言葉を言ってあげることです。
「その場誠実」という言葉があります。
その場は親切で親身なのです。
しかし、あくまで「その場」限定です。
「その場その時に相手の気分が良くなればよい!」
という発想で、それは本当の誠意ではないですよね。
人間って意外に打算的な生き物です。
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