家畜の世話をしていた教え子から連絡がありました。
私の過去記事「『社畜』という言葉やめませんか?」を読んでくれたようです。
私の過去記事も、彼の経験に基づいて書いていました。
彼が教えてくれた畜産課での体験
その教え子は、オホーツク海沿岸にある町の某団体職員です。
かなり前になりますが、畜産課に配属されていました。
昨日、改めてその時の経験をいろいろ教えてくれました。
一番怖いのは、もくし(頭絡)を付ける時だった
トラックに家畜を運ぶ前に、まずはもくしを家畜の頭部に取り付ける作業があるそうです。
この時に、機嫌が悪い家畜は激しく怒り出すそうです。
首をグイグイ振るから、当たると吹っ飛ばされるそうです。
慣れるまで、この時が一番怖いと言っていました。
特に、出産して日を経ない雌は特別抵抗が激しいそうです。
それでも最高に恐ろしいのは角がある牛らしいです。
身体の大きさだけでも凶器なのに、角まであったら危険です。
一度、激しい体当たりを喰らったことがあるそうです。
「角がなかったので助かったけど、あったら間違いなく大怪我してました」。
勇気と経験が必要な仕事ですね。
無事にもくしを付けたら家畜をトラックまで運ぶそうです。
馬は死ぬことをわかっていたようだ、牛と豚は…
「ほとんどの馬は、おそらく殺されることをわかっていたように思います。馬は牛よりも数段賢いんです。」
「牛は、あんまりわかっていなかったと思います。」
「豚は、一番わかっていなかったと思います。」
馬の中でも敏感なものは独特の悲しい鳴き声を上げたそうです。
私は、牛も鳴くと思って過去記事に書きましたが、牛は鳴かないと言っていました。
と殺場に到着したら引き渡して一部始終を見ているそうです。
殺されて、解体されて、肉になっていく過程を見るわけです。
だんだん慣れてきたとは言っていましたが、最初の頃はとてもイヤだったそうです。
もう一つ、とてもイヤなことは、毎日必ず糞が付くので作業服は汚れ、臭いは取れないことだそうです。
腕に付いたら風呂に入っても取り切れないとぼやいていました。
豚は運搬中に心臓麻痺を起こして死ぬことも
豚はデリケートでストレスに弱く、運搬中に心臓麻痺で死ぬこともあったそうです。
巷では豚はキレイ好きとよく言われるが、特にそういう印象はないそうです。
神経質な動物なのは間違いないようですね。
「社畜」という言葉について~彼の感想
自分はそんなに気にしないけど、そういう無神経な言葉を平気で使う人が増えてきたんだなという印象。
自分ら勤め人よりも毎日世話をしている酪農家さんにもっと失礼だと思います。
家畜に失礼とまでは思わないけど、人が嫌がる仕事をする人がいて世の中が成り立っていることなんてどうでもいいと思っている人が使う言葉じゃないですか?
別にお金持ちが偉いと思わないし、自分で起業して仕事をしているから優れているとも思わないんですけどね。
でも、意味からすると、
「俺らは家畜を世話する社畜」
となりますよね。会社員みたいなもんですから。
上司がいて給料もらってますし。
またいつ畜産課に配属されるかわかりませんしね。
イヤですけどね。
命令一つで配属が決まる人を「社畜」というなら、俺は間違いなく、そうなりますよね。
プライド持って仕事してる人は気分悪いでしょうね。
まぁ、自分も気分はよくないですけど、そういう言葉を平気で言う人には関わらないのががいいんじゃないですか。
幸い、田舎に暮らしているから気にしなければ聞こえてきませんし。
まぁ、そういう言葉を無神経に吐く人はきっとお肉を食べないんでしょう。
ほっとくしかないですよ。
おわりに
ということでした。
彼は真面目な性格で、年齢は40歳少しです。
特定されて迷惑になると困るので団体名も年齢も少しぼかします。
高校時代は野球部のエースピッチャーでした。
電話を切った後、私は「社畜マインド 上司」でネット検索してみました。
すると、出るわ出るわ…、ものすごい数が。
いくつか読んでみましたが、
「あ~、この人たち、上司を人間と思っていない…」
と感じました。
人の上に立つプレッシャー、人の心を一つにをまとめることの苦労、頑張ってくれる部下への愛情、仕事ができない部下をどうしたら一人前にできるかを考える苦悩、やる気が出ない後輩をやる気にさせるための試行錯誤…
こういったことを経験したことがない人たちが、
「社畜」
というワードを平気で吐けるのだなと改めて思いました。
それ以外の感想は、彼と一緒です。
過去記事にも書きましたが、「社畜」は自虐にならない「他虐ワード」だと思っています。
会社を無事に辞めたあとに、お世話になった同僚や上司に向かって、
「あんたら、まだ社畜やってるの?!」
という醜い上から目線を感じる言葉だからです。
何だか、切ないです…。
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