人生80年といいますが、それでもやはり寿命は有限です。
「何事も半分を過ぎると減りが早い」と言いますが、本当にそうですね。
夏休みも半分を過ぎるとあっという間に終わりの日がやってきます。
1年だって、半分を過ぎるとあっという間に師走がやって来ます。
『ヘタな人生論より徒然草~賢者の知恵が身につく"大人の古典”』をご紹介します。
『徒然草』第百八段「人生は、やむをえないことで多くの時間を失っている」
一日のうちに、飲食・便通・睡眠・会話・歩行など、やむを得ないことで多くの時を失う。その余りの時間はどれほども無い中で、無益な事をなし、無益な事を言い、無益な事を考えて時を過ごすのみならず、日を浪費し月を経過し、一生を送る。まったく愚かである。(第百八段)
次は原文です。
一日のうちに、飲食(おんじき)・便利・睡眠(すいめん)・言語(ごんご)・行歩(ぎやうぶ)、止む事を得えずして、多くの時を失うしなふ。その余りの暇幾ばくならぬうちに、無益むやくの事をなし、無益の事を言ひ、無益の事を思惟(しゆい)して時を移すのみならず、日を消し、月を亘(わた)りて、一生を送る、尤(もつと)も愚かなり。(第百八段)
「必須のことで多くの時間を失う。それ以外の余り時間はそれほど多くない」と兼好法師は書いています。
必須のこととして次の5点を書いています。
- 飲食
- 排便
- 睡眠
- 言語活動(最低限の会話や話し合い)
- 歩くこと(移動)
一日の持ち時間は思ったよりずっと短いたったの9時間!
睡眠7時間・排便1時間・通勤通学1時間…必要な時間は15時間
標準的な生活をしている人の、一日の所要時間を実際に計算してみると、睡眠7時間・排便1時間・食事4時間・おしゃべり2時間(メールを含む)・通勤通学の往復1時間で、合計15時間になる。
残りの持ち時間は9時間で、この間に大人は仕事や家事・育児、子どもたちは学業を行っていることになる。
『ヘタな人生論より徒然草』荻野文子著から引用
「睡眠7時間・排便1時間・食事4時間・おしゃべり2時間(メールを含む)・通勤通学の往復1時間で、合計15時間になる。」
データの引用元はさておき、個人差こそあれ概ねこんな感じでしょうね。
排便1時間は長く感じるかもしれませんが、トイレへの移動時間も含めるとそのくらいになっても不思議ではありません。
「食事に4時間も使わないよ!」と私は思いましたが、買い物や支度・後片付けの時間を加味すると、予想以上に時間を費やしている可能性はあります。
とにもかくにも、かなりの時間が「生きるため」には必要なのだということですね。
その合計はなんと15時間!
スポンサーリンク
残りの9時間をどう使うか!?
仕事や学業を人生の大事と考えるなら、この9時間をボーッとすごすかしっかり活かすかは大きな差になる。
仕事や学業は生きるための術で、もっと大事なことがあるという人は、まして、それに当てることのできる時間は2時間あるかないかである。
『ヘタな人生論より徒然草』荻野文子著から引用
要は残り時間の使い方ですね。
兼好法師は、他の章段でも繰り返し「時間の大切さ」を書いています。
時間を無駄にする⇒つまらない人生に!?
こうして「今」をむだにして10年をすごし、今度は「すぎた10年」を後悔してさらに大きな夢に追い縋(すが)る。
その目線は、いつも「目前の現実」ではなく、「遠い将来の幻影」を見ているのである。この際限のない繰り返しの果てに、ついに「つまらない人生」を総括することになり、夢と現実のあまりのギャップに精神を病むことすらある。
チャンスのなかった運命を呪い、自分を見すごしにした周囲を恨んで日を暮らす。擦(す)った時間の穴埋めに新たな時間を注ぎ込むのでは“負けの込んだ深追い博打”ではないか。
『ヘタな人生論より徒然草』荻野文子著から引用
忙しい人は時間の使い方が上手!?
いっぽう、忙しい人は、効率よく用事を片づけないと一日が終わらないから、処理能力が自然と早くなる。「急用は忙しい人に頼め」というが、多忙な人ほど多くのことを形にしている。
子どものときには途方もなく長かった一年が、歳を重ねるにつれてどんどんと短く早く感じられる。「光陰矢のごとし」である。
今日すべきことは今日のうちに、今しなければならないことは今すぐに。それを習慣づければ、一生のうちになすことの差は量質ともに計り知れない。
『ヘタな人生論より徒然草』荻野文子著から引用
忙しい人に仕事が集中するという状況はどの職場でもよく見受けられます。
「忙しい人=仕事ができる人」の方程式はある程度正解かもしれません。
あるいは、「忙しい人=責任感がある人」であることも。
時々、瞬間的に忙しい人がいたりします。
その多くは、仕事を溜めてその時だけ忙しい人です。
このケースでは、「≒仕事ができない人」に該当するはずです。
すべての人に平等なのは「1日=24時間」と言われます。
私も時間の使い方を一考してみようと思います。
荻野先生の参考書のおかげで「古典がわかるようになった」、あるいは「好きになった」という受験生は大勢います。
『枕草子』版もあります。
古典の世界を気楽にのぞいてみたいという人にはオススメの本です。
一時期流行った『ヘタな人生論より〇〇』シリーズ。
『ヘタな人生論より「寅さん」のひと言』もあります。
私は『男はつらいよ』のファンです。いい映画でしたね。
過去記事もどうぞよろしく。
ポチッと応援していただけるとハッピーです!